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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第六章 実り多き秋の騒動
200/616

200.パンなのに、パンじゃない!(アイシャイード視点)

本日で200話となりました‼︎


あっという間でした……早い‼︎

 








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(アイシャイード視点)








 今日は、素敵なお昼ご飯をいただける日だ。


(まだかなまだかな?)


 滅多に入ることが出来ない、宮城の中でも私の叔父である神王様のエディオスお兄様や他のお身内の方々が食事をするお部屋。

 国に帰る今日だけ、特別にお邪魔することになった。

 昨日の収穫祭で、お母様がカティアお姉ちゃんにお願いしてたからだけど。


「アイシャ、待ち遠しいのはわかるけれどもう少し待ちましょう? 他の二人も落ち着きない?」

「あ、は、はい」

「「……はい」」


 兄様や姉様もだけど、私もそわそわしてるのがわかりやすかったみたい。

 でも、無理ないと思うの。

 お母様だって、きっと心の中では同じはずだから。


(焼き立て、が一番美味しいパン……‼︎)


 なんでも、普通のパンと違ってお野菜やお肉とかがたくさん使われてて、とっても美味しいパンらしい。

 教えてくれたのは、叔母のアナリュシアお姉様だけど。

 私はご飯の中でもパンが一番好きで、少し大きくなった今では小さいパンなら5個くらいお代わりするくらい大好き。

 今日のは、そうざいパンと言うのに近いみたい。

 けれど、この国ほどではなくても一応王女。

 街とかで売られてるようなパンはまだ食べたことがない。

 カティアお姉ちゃんは、私達のすっごく遠い親戚だけど、少し前ではどこかの街で暮らしてたらしい。

 お城に引き取られるまで、姉様くらいのお年でも自活と言うのをしてたんだって。

 だから、料理がすっごく上手みたい。


「お待たせしました!」

「おっ待たせー!」


 まだかな、と思い直してた時に、やっとお姉ちゃんと創世神様が食堂に入ってきた。

 大きなワゴンを押しながら入って来たけれど、いい匂いはするのに膨らんだパンが見えない。

 ちょっと残念に思ったが、私とお母様の前に置かれたお皿にそれは間違いだと思った!


「まあ、これがエディ達の言っていたピッツァなのね?」

「い、いい匂い……」


 丸い大きなお皿には、薄い生地のパン……じゃなくて、ピッツァと言うのが乗っていた。

 ほとんど白っぽいけれど、一番外側はちゃんとパンの匂い。

 白っぽいところは、少しピンクのお肉?や黄色いつぶつぶしたのが、少し焦げた白いものの下にたくさんあった。

 見たことがあるような気がしても、お姉ちゃんはシュラムは入れないと言ってくれたから大丈夫、だと思う。

 それと、食べやすいように、ケーキを切り分けるのと同じ数に切り分けてあった。


「まずは、普段出したことがないピッツァをご用意しました。上の少し焦げた部分はカッツで、思った以上に伸びますから取り分けの時気をつけてください」

「え、これ、カッツ⁉︎」

「こら、サシェ。大声を出さないものだぞ?」

「ご、ごめんなさい」


 私も驚いたけど、兄様は我慢出来ずに声を出してお父様に叱られていた。


「息子が行儀悪くてすまないね? カッツの下にあるのは何かな?」

「え、えと……焼いた生地の上にはオーロラソースを塗って、具は茹でたキビトにバラ肉です。バラ肉がない方はノットなんですが」

「ほぅ? ノットもか」

「ノット?」

「お魚の油漬けね」


 わからないのでお母様を見れば、お母様はにっこり笑いながら答えてくれた。

 これじゃないみたいだけど、あとで食べれるかな?


「基本は手づかみで食べるんだけどー、サシェとか他の子達には大きいからフォークとナイフを使いなよ?」

「「「わ、わかりました」」」


 わざわざご説明してくださった創世神様の言葉に頷き、それぞれ隣に座ってる大人の人に取り分けてもらってから、やっと食べることになった。


「お代わりもですが、種類はまだたくさんありますので急いで食べないでくださいね?」

「「はーい」」

「は、はい」


 危なかった。

 お皿の上のピッツァをたくさん食べたら、きっとお腹いっぱいになってた。

 食事の挨拶をしてから、お母様に取り分けていただいた細長いピッツァを、フォークとナイフでちっちゃく切り分けた。


「…………わぁ!」

「まあ!」

「お、美味しい……っ‼︎」


 カッツって、オムレツ以外でほとんど食べたことがないけれど、このピッツァは美味しかった。

 オーロラソースの酸味とカッツの塩気などがよく合い、後から追いついてくるお肉の味やキビトの甘さがちょうど良い。

 兄様はお父様に笑われながらも作法を忘れて食べ進めていたが、私は出来るだけ姉様と同じようにゆっくり食べた。

 だって、さっきも思った、たくさん食べ過ぎたら次が食べれなくなるから。


「カティア、美味しいよ!」

「あ、ありがとうございます」

「敬語良いって! 俺と同じくらいだろ?」

「あ、兄様ずるい! 私と兄様は背丈が違うけど双子なの。私も敬語いいから!」

「え、え?」

「こら、子供同士話すのは後にして今は食事に集中なさい。行儀が悪いよ?」

「ラシード兄貴、今日くらいいいぜ?」

「……義弟がそう言うのなら、今日は無礼講でいいのかな?」

「今更ですわ、お義兄様」

「……しょうがないね」

「「わーい」」


 カティアお姉ちゃんは少し困ってたけど、兄様と姉様の勢いに負けそうだった。

 そこにエディオスお兄様達が助けてくれたと思ったら、結局はいいと言うことになった。

 私は歳下だけど、昨日普通に話してしまったけど、い、いいのかな?


「あ、残り少ないので次作ってきますね?」

「ふふ。本当に美味しいわ。次はどんなのかしら?」

「結構驚きますよ?」


 そう言って、次に出されたのは……緑のソースが目立つピッツァ。

 私や兄様と姉様は声を上げてしまったが、お父様とお母様は全然驚いてなかった。


「これは、オラドネが強いね? 緑のソースは何かな?」

「野菜かしら?」

「乾燥していないヘルネです。具は野菜以外にルーストを輪切りにしたのも入れてあります」

「あら。いつまでも怯えてないでひと口食べてみなさい。カティアちゃんと創世神様が作ってくださったものよ?」

「うぅ……」

「あ、これはいいね。食べるとヘルネの香りがよくわかる」

「と、父様、お、美味しい?」

「エスティオも食べてご覧なさい。お前の好きなオラドネ入りだよ?」

「う、うん」


 たしかに、見た目に驚いて匂いの正体を忘れていた。

 お母様に一つだけでもと言われたので、勇気を出して食べてみる。


(……全然変な味じゃない!)


 むしろ、好きな味だ。

 ソースの部分はお野菜と少し違うけど、塩っぱくて濃厚で、ルーストと甘いお野菜が最高に美味しい!

 兄様達もすぐにわかって、これは兄妹全員二枚も食べてしまった。

 その後が赤いマトゥラーのソースでお肉やお肉がないものとか。あんまり食べたことがないオーロラソースに甘じょっぱい味付けの鶏のお肉とか。

 全部、全部とても美味しかった。

 でもまだまだあって、


「本当のデザートの前にデザートのピッツァです。これは昨日の収穫祭で集めた果物を使いました」

「「「わぁっ⁉︎」」」

「まあ、美しいわ!」

「食べるのがもったいないが、せっかくだしいただこう」


 昨日お姉ちゃん達が採った果物で作ったってピッツァは、本当にデザートと同じくらい綺麗だった。

 生地は同じだけど、生クリームの上に果物がたくさんあって、茶色の細い線が上にかかってるのはなんだろう?

 食べたら、パンの次に好きなココルルとわかって嬉しかった!


「こっちの赤いのはフェイじゃなくてチェイルを焼いたのか?」

「はい。種無しのを使ってますからそのままどうぞ」


 エディオスお兄様が気になられたのは、生クリームとは違う白っぽいクリームに赤い果物と一緒に焼いたやつだ。

 赤いのは、チェイル。

 焼いても美味しいのかな、ってお母様と半分こにして食べたらやっぱり美味しかった!


「カティアちゃん、このクリームは? 他にもあったような気がするけれど?」

「マトゥラーのソースの時とかに乗せた、カッツのクリームです。ヴァスシードやその近くのお国では普通の食材と聞いてるんですが」

「なるほど……けど、甘いのにも合うカッツなんて初めてね! あとで作り方を聞いていいかしら? ラシードもうちの子達も気に入ってるし」

「え、いいですけどミラージュレインさんもお料理を?」

「言いにくいでしょうから、ミラでいいわよ。お祖父様程ではないけれど、ほんのたまにね?」


 たくさん作る方ではないけど、お母様は料理が上手。

 お姉ちゃんと比べるとどうかわからないけど、二人ともとっても上手。

 国に帰っても、このクリームが食べられるのなら嬉しい。

 このパンに合うなら、いつものパンにもきっと合うはず。


「じゃ、じゃあ、あとで紙に書きますね」

「お願いするわ」


 約束が決まった後に出された、蜂蜜とカッツのピッツァも美味しかった。

 サイノスお兄様の大好物なんだって。

 私は蜂蜜はたくさん食べない方だが、これは美味しかった。

 でも、これで終わりじゃないらしい。


「最後は、ティラミスです。大人の方だけは少し違いますが」


 ピッツァではない、ティラミスと言うデザート。

 前に来た式典の時にお母様が食べたいと言っていたデザート。

 まさか、今日食べられるとは思ってなかった。

また明日〜〜ノシノシ

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