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ピッツァに嘘はない! 改訂版 作者:櫛田こころ

第四章 式典祭に乗じて

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126.式典祭3日目ー美味しいベーコン串ー(途中別視点有り)

「ほら、火傷すんなよ?」
「ありがとうございますっ!」
「ふゅぅう!」

 クラウを左手で抱っこしながら右手でエディオスさんから受け取った。肉汁をうまく閉じ込めている絶妙な焼き加減で仕上げに黒胡椒を振ってあるだけのシンプルな串焼き。
 僕は慎重にふーふー息を吹きかけてからひと口頬張りました。

「お、おいひい!」
「そうだろそうだろ! 仕込みから全部俺や若いもんの手製だからな!」
「良い味してんな! 土産用に10本焼いてくれねぇか?」
「おっ、まいど!」

 エディオスさんは熱いの関係なくもう半分以上食べちゃってて、気に入られたのかお使いの一つに加えられました。
 けど、本当に美味しいよ。表面はカリッと、中は肉汁ジューシーで仕込みに使ってる調味料とか香辛料の加減もちょうどいい。これベーコンエッグにして食パンに乗せたら最高だろうなぁ……マリウスさんにお願いして今度やってみようかな? もちろん、式典が終わってからだけど。

「ぶゅゆゆゆぅう!」
「あ、ごめんごめん。もう大丈夫かな?」

 味わって食べてたらクラウが膨れっ面になって怒り出した。ぷくーって河豚かハリセンボンのように体を膨らませて、水色オパールの目が鋭くなっている。僕とエディオスさんが美味しそうに食べてたら、食いしん坊のクラウはそりゃあ盛大に怒るよね?
 串の湯気が特になくて、ちょんと触ったら少し熱い程度だったから、食べやすいように串から一枚抜いて手のひらに乗せた。

「はい、ゆっくりお食べ?」
「ふゅぅ!」

 僕が許可すれば、ぴこんっと体を震わせてちっちゃな両手でベーコンを持ち上げ、すぐに端にかぶりついた。

「ふゅふゅぅ!」

 クラウにも大っきいからひと口で頬張れないけど、カジカジとハムスターにように噛んで口の中に入れていく。案の定頬袋が出来てしまい、ハムスターのように貯めておけないのに次が欲しいと手を伸ばしてきたよ。だからって、あげません!

「ちゃんと全部ごっくんしてからだよ?」
「……ふゅぅ」

 またさっきみたいにしょぼんとお耳ごと折ったけど、ここはちゃんと言い聞かせなきゃだしね!

「……お嬢ちゃん、ちっさいのにかなりしっかりしてんな? 普通お嬢ちゃんくらいの年齢なら聖獣とかでもかなり甘やかすだろ?」
「あ、あははは……」
「まあ、こいつは色々事情があってな?」
「兄ちゃんの妹にしちゃ年離れ過ぎだが、親戚の子とかかい?」
「そんなとこだ」

 今度は親子には間違われませんでした。けど、危なかった……中身が成人してるからついつい子供らしくないとこが出ちゃうよ。だからって、不自然に8歳児っぽいことなんて出来ない。絶対ボロが出るもの。
 とりあえず、クラウが頬袋のお肉を飲み込んでから次のを食べさせてあげました。

「ほい、10本焼けたぜ? 布かアウロの葉だとどっちがいい?」
「んじゃ、アウロの方で」
「あいよ。お題はさっきのと合わせて1500ラインだ」
「え、安くねぇか?」
「お嬢ちゃんとそこの聖獣が良い食べっぷりを見せてくれたからおまけだ。次来る機会があった時はちゃんと正規の値段で出すがな?」
「悪りぃな」

 クラウと残りを分け分けしながら食べている間に、お土産用の串も出来たみたい。アウロの葉は見た目バナナの葉っぱとかに似てました。それを強度のある麻紐で丁寧に縛ったものをおじさんがエディオスさんに渡した。布と葉っぱの違いはなんだろう?

「お嬢ちゃん初めて見るのか? アウロの葉は保存の魔法が使いにくい俺とかの一般民にはありがたい、特殊な葉なんだ。あと、香りづけにも最適だぞ? 帰ったら兄ちゃんに嗅がせてもらいな。今じゃまだわかんねぇからよ」
「あ、はい」

 魔法って全員が使えるものじゃないんだ?

「またそこは話してやっから、次行くぞ?」
「はい」

 小声でエディオスさんにそう言われたので、素直に頷いておくことにした。

「じゃあな、親父。式典中はずっとここいらでやるのか?」
「おう。今年の籤で当てた特等だかんな。誰にも譲らねぇよ!」
「そうか」
「ごちそうさまでしたー」
「ふゅふゅぅ!」

 食べた分の串をおじさんに渡してからお店を後にした。お土産用のはエディオスさんの腰に下げてるただの皮袋に見えるなんでも収納袋に入れたよ。外からの振動とか積み重ねても中身が変形しない魔法の袋。
 一瞬、四次元袋?と思っちゃったよ。なんでそんな物があるかと言うと、フィーさんしか出来ない亜空間収納の簡易版らしい。エディオスさんが使ってるのはフィーさんお手製だから、外見はシンプルでも大容量とか。ぶっちゃけ、僕も欲しいと思った。今晩のごはんの時に聞いてみようかな?

「お昼には早いですし、次はどうしますか?」
「俺としてはまだ食いたいが……他の土産用を見ながら買い食いすっか?」
「お昼食べれます?」
「いつも見てっからわかるだろ?」
「まあ……」

 フードファイター程じゃないけど、かなり食べますからね。出会って半月程度でも、それはよーくわかってる。逆にフードファイターなのは四凶さん達とクラウです。四凶さん達は正体があの妖怪っぽい獣だからわかるけど、抱っこしてるクラウはまだ許容量を超えたことがない。一度調べようにも今はお城全体が大忙しだから厨房の一部を借りれないからね……。

「それと、一般民の生活や文化が色々見たいだろ? ひやかしながら回るか?」
「はいっ」

 お城から勝手に抜け出して、変装した王様と練り歩くのに完全に罪悪感が抜けた訳じゃないけど、来ちゃったからには楽しまなきゃ!
 ただ、何かを忘れてるような気がするんだけど……まあ、いっか?









 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(フィルザス視点)







 まさか、先手を打たれてるとは思わなかったよ。

「エディ……、自分の立場わかっててやってるのかな?」

 コロネから聞いた時はびっくりどころじゃなかったよ。あの子が血相変えて暇してる僕のとこに来た時は、思わずベッドからひっくり返っちゃったし。

『どどど、どうしたの?』
『かかか、カティアさんがお部屋にいらっしゃらないんです! クラウさんもどこにもいらっしゃらなくてっ』
『二人が?』

 探検の可能性は低い。数日前にセヴィルに案内してもらってる上に宮城は上層を除けばどこもかしこも人の子で溢れかえっている。それは、中層と下層に昨日までいたから知ってるはずだ。
 何より、本人の外見は幼子でも中身はエディ達と変わりないくらいの大人だもの。分別は充分出来ているし、ほとんど我がままを言わない子だ。朝の時は二度寝してから勉強するとか言ってたのに、僕もだけどコロネや他の女中に無断でどこかへ出掛けるなんて思えない。コロネは彼女が料理が得意なのを知っているからマリウス達のとこにも念の為行っただろうが、あそこもかなり忙しいからカティアが行くわけがない。

『コロネ、他に誰かに伝えた?』
『い、いえ、まだ……女中頭の母だけでもお伝えしようとしましたが、今はとても声をかけられる状況では』
『それでいいよ。僕以外伏せておいて。他の皆にも言わないでおいてくれる?』
『で、ですが、閣下には』
『いや、あの子には今一番伝えられないよ。君はほとんど見かけてないだろうけど、想像してごらんよ』
『……どう、なるのでしょうか』
『まあ、君には言うけど……怒り狂って僕が殴られるだけですまないかも』
『絶対、お伝えしませんっ‼︎』

 と言う次第でコロネには過剰に言い聞かせたけど、あれは多分嘘にならないと思うね。カティアは自覚ないだろうけど、セヴィルは蒼の世界風に言うならカティアにぞっこんだもの。あれだけわかりやすい反応見せてるのに、カティアは鈍いか敢えて気づかないでいるのか恥ずかしがってもそれだけだし?
 式典中だから今は僕でも伝えに行けないけど、とりあえずカティアの部屋に行って魔力の残滓から記憶を探ることにした。
 そしたら、とんでもないのが浮かび上がってきたよ!

「エディが犯人だったなんて……」

 一言一句、ばっちり玉に閉じ込めておいたから、あとでセヴィルに渡してあげよう。
 影を王座に置いてきたって言うけど、この城の暗部の子達が了承するとは思えない。だとしたら、と急いで式典の会場に向かって遠目から覗き込めば……見た目はエディそっくりだけど、彼の祖父(・・)が代わりに玉座に座っていた。

「なーんで、式典抜け出してカティア達を連れて行くのかな?」

 行き先は城下だって言ってたから、ここから一番近いシュレインのはず。転移するにはエディじゃ無理だから、ディシャスに乗っていったんだろうね。カティアはあれ弱いのに大丈夫かなぁ?
 それと、もう一つ気になったことが。

「あのセヴィルを休ませるって無茶をどうやるんだろう?」

 絶対本人が応じないと思うけど……僕は広場の天枠の上から首を捻って考え込んだ。
また明日〜〜ノシノシ
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