挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ピッツァに嘘はない! 改訂版 作者:櫛田こころ

第四章 式典祭に乗じて

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

122/195

122.式典祭3日目ー神王の脱走に加担?ー







 ◆◇◆







 式典祭三日目。今日は休暇日です。
 二日目は下層で一日目の中層とほぼ変わらずのデザート作りにあっぷあっぷになったけど、それだけ売れ行きがいいことは素直に嬉しかった。僕自身が生み出したものじゃないのに、皆さんがあれだけ喜んでくださるもの。嬉しくないわけがない。
 だけど、働きづめは子供の体じゃ到底出来ないので今日はお休み。クラウとゆっくり体を休めようと朝ご飯を食べてから二度寝しようとしたんですが。




 コンコンコン。



 忙しないノックが聞こえてきたので、慌ててベッドから降りて扉まで急いだ。
 寝惚けていたから誰だろうとは特に疑問に思わなかったんで、開けたら声を上げそうになったから相手によって素早く口を手で塞がれました。

「大声出そうとすんなっての!」

 いやいやいや、驚かないわけがないでしょう⁉︎

「ふぇでぃおふしゃん⁉︎(エディオスさん⁉︎)」

 半開きの扉の向こう側に今開催中の式典での主役が、僕なんかの部屋の前にいたら誰だって驚きますって⁉︎
 他の人はと思ったけど、セヴィルさんやサイノスさん達もいないや。

「……来た理由は話すから、とりあえず中入れてくれ」
「ふぁい」

 とは言っても追い返すわけにはいかないし、僕には通信手段とかは持ち合わせてないからセヴィルさん達にお知らせ出来ない。なので、大人しく頷きながら彼を中に入れました。
 扉を閉めてからやっと手を離してくれたけど。

「ふーゅゆ!」
「おー、クラウ。二日程度なのになんか久しぶりに会う感じだな?」
「ふゅ!」

 ちょっとお久しぶりに会うエディオスさんが来てくれて嬉しいのか、クラウはぴゅーっとベッドから飛んでエディオスさんにくっついた。エディオスさんは嫌がることもなくキャッチしていい子いい子と撫でてくれました。手つきから見て動物?の扱いに慣れてる……あ、ディシャスがいたね。今は巨体過ぎても、小ちゃい頃はこんなだったかも。

「それより、どうされたんですか? 式典の真っ最中なのに」

 まだ全体の半分も過ぎてない。
 王様だからぶっ通しで式典中は玉座の間とか特設ステージにいなきゃいけないと言うのは、少し前にフィーさんが勉強中に教えてくれたことだ。休憩とかは頻繁に取るようだから完全に缶詰ではないらしいけど、たったお一人でどうして居候でしかない僕とクラウいるゲストルームに?
 来る理由もだが、抜け出してくる理由も……まさかサボり?

「影武者置いて抜け出してきた」
「サボりじゃないですか!」
「無休は勘弁だかんな?」
「堂々と言うことじゃないですよ! セヴィルさん達だってほとんど同じですのに!」
「ゼルにも休みはやるって」
「はぇ?」

 出来るんですか、そんなこと?
 でも、セヴィルさんはこの国の宰相さん。エディオスさんの従兄弟さんでもあるが、政治側では大事な腹心。そんな人を一日だけでもお休みさせれるって出来るんだろうか? いや、その上の人がこうやって堂々と休みもぎ取ってきたんだからなんとかなるんだろうな……じゃなくって!

「だだだ、ダメですよ! それでも王様本人が式典から抜け出してくるなんて!」
「まあ、だーいじょぶだっての。それよか、二度寝するより有意義な休暇の過ごし方したくねぇか?」
「ゆ、有意義?」

 お城の中で何が出来るんだろうか?
 たしか、催し物はいくつかあるらしいとは聞いていたがシャルロッタさんからはどこもほとんどごった返しで一人で行くのはやめておけとは言われてるし。
 それに、エディオスさんが行ったら一発で近衛さん達に見つかって連れ戻される可能性が高い。今も素のお姿なままだもの。正装じゃなくて何故か近衛さん達の服装をラフにしたような騎士服ではいるけど、目や髪はそのまま。

「あ、行くのは宮城内じゃねぇぜ? 城下の方だ」
「え」

 お城から出ちゃう……?

「余計にダメですよ!」
「だーいじょぶだっての。頼まれモンもあっから」
「セヴィルさんに?」
「いや、あいつやサイノスとかにはまだ気づかれてねぇはずだな。別の奴だ」
「え」

 あのお二人に気づかれずに抜け出せたって一体どうやって……。
 考えても考えてもわからないでいたが、すぐに考えるのをやめた。僕なんかが考えたって意味がない。既に脱出を実行されてしまってるのだから、いくら言及したところでこれも意味がないからだ。
 とりあえず、僕を連れ出す理由を聞こう。

「なら、お一人の方が都合が良くないですか? 僕なんかがついて行ったらお邪魔になると思いますよ」
「……お前、こう言う時は甘え下手なのな? 城の外にほとんど出てねぇだろ? 気分転換したくねぇか普通?」
「この状況で素直に甘えれませんよ」

 腐っても成人女性だ。分は弁えてるつもりだし、いくら城下街でもメインストリートとかは屋台が凄くて人混みはお城と同じかそれ以上。たとえエディオスさんが手を繋いでくださっても絶対はぐれる可能性大。
 お祭りの動員数が国規模なら、一地域だけのものと比べもんにならないくらいなのは容易に想像できるもの。
 全部そのままお伝えすれば、エディオスさんは髪をガシガシと掻いた。

「そこまでわかってて、行きたくないってか?」
「せめて、ごく普通の日常生活に戻ってエディオスさんも公休を取ってる日なら文句は言いません」
「手厳しいな……まあ、正論だが」

 なら用事を済ませてさっさと式典に戻ってください、と言おうとしたら……何故かエディオスさんに片腕で俵担ぎされてしまい、反対側にはクラウも抱っこされていた。

「ふぁ⁉︎」
「悪りぃが、このまま置いといてマリウスとかに知らすとかさせられねぇかんな! 連れてくぜ!」

 と問答無用で飛び出すかと思いきや、クラウを抱っこしている方の手を懐に入れて一枚の札を取り出した。
 あ、これってたしか。

「まあ、いきなり長距離は飛ばねぇから目つむってろ」
「おーぼーだー!」
「ふゅぅ」
「なんとでも言え」

 じたばたしながら叫んでいたら、札から真っ白な光がほとばしって少しだけの浮遊感を感じた。
 まぶしくて反射で目をつむってたのを開ければ、そこは少し薄暗い場所だった。どこだろうときょろきょろしてみてもほとんど光は見えない。
 ただ、なんか獣臭いんだよね……。

「うっし、ここいらの連中も今はいねぇな?」

 エディオスさん上機嫌。
 もうこうなったら止められないだろうなぁ……。

「とりあえず、逃げないんで降ろしてくれませんか?」
「あ? やめとけ。ディに久々に乗るんだからよ」
「ディ?」

 え、誰だっけ? それに乗るって言うと……?
 うんうん唸っていたら、急に爬虫類系の唸り声のようなものが耳に届いてきた!

「よぉ、お前らも久しぶりだな? 用があんのはディだ」

 誰に向かって言ってるんだろうと思って、そろーっと前を見れば……無数の黄色っぽい目のようなものがこっちを見ていた。

(超怖い⁉︎ 何あれ何あれ⁉︎)

「うぇ、あ、れ」
「あー、お前ディにも最初怖がってたもんな? だーいじょぶだ。飼い慣らされてる竜種の聖獣達だよ、敵意を向けなきゃ悪さはしねぇ」
「りゅ……う?」

 あれ、その単語さっき思い出したような?
 震えを叱咤させながら、暗闇に目を凝らせば……大きさはばらばらだけど爬虫類に似た顔が何体も。よく見えれば、頭の上には角が生えていた。
 ってことは、ここって。

「ディシャスのいる獣舎、ですか?」
「おお、そうだ。っと……来たな、ディ」
「ぎゅるるるるるぅう!」

 耳を突き抜けるくらいのけたたましい咆哮。
 おそるおそる顔を上げれば、至近距離にエメラルドグリーンアイが。そんでもって柔らかいものにベロンベロンと顔をいきなり舐められた!

「うぇ、ちょっ!」
「おい、ディ。時間ねぇから止めろ」
「……ぎゅるぅ」

 エディオスさんの一声でべろべろは終わり、ベッタベタになった顔は彼の洗浄魔法ですぐにさっぱり出来た。
 それからもう一度顔をディシャスに向ければ、好奇心を隠さないキラキラの眼とご対面。わかればこう言うのは怖くないけどさ?

「ふゅふゅぅ!」
「ぎゅるぅ」

 クラウは全然怖くないのと久しぶりの再会に喜んでるようだ。
 それにしても、獣舎に来たってことは……。

「ディシャスで城下まで行くんですか……?」
「おう、途中までな」
「う」

 ってことはやっぱり、あのジェットコースター以上の絶叫体験再び⁉︎
 これは流石に嫌だと逃げたくても、エディオスさんはまた札を使って僕らとディシャスをお城上空に浮かんでる浮き島に瞬間移動させてしまった。
また明日〜〜ノシノシ
ツギクルバナー
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ