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勇坂探偵事務所は今日も平和  作者: 遠浅 三木
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第一話「探偵と事件と未払いのバイト代」

「はぁ、、」先月の依頼の内容を思い出しながら短いため息をついたこの男、名は勇坂連太郎(いささかれんたろう)。小さい頃から探偵に憧れていた彼は、金田一はじめや明智小五郎、神津恭介の様な探偵たちに昔から目が無かった。大学は親に勧められた法学部に入学し、可もなく不可もない成績で卒業した後に弁護士になったが、小さい頃からの夢を諦めきれず、2年間務めた弁護士を辞職。貯めた貯金を元手に先月、ついに『勇坂探偵事務所』を開く事によってその夢を実現したのであった。立地も悪く無いところにできた『勇坂探偵事務所』は開業当時から客が来ないという事はなかったが勇坂がため息をついているのはその依頼の内容にある。『迷子犬捜し、浮気調査、家出調査』の三点張り。憧れていた事件の香りは皆無である。平和な事はいい事だが探偵を職業に選んだ以上は何かしらの事件を解決したい、このままだと俺は金田一にはなれない。と人生にドラマが足りないと思った彼は事務所の前に『事件限定、迷子犬捜し、浮気調査、家出調査お断り』の看板を設置したところめっきり仕事が来なくなったのである。当たり前の事だが事件なんてそうそう起きるものではない。そもそも事件が起きても出来たばかりの探偵事務所に依頼は来るはずもない。

「仕事、来ませんね。」約1週間の間2人の人間にしか開閉されていない事務所の扉を見ながら助手(バイト)十村琴乃(とむらことの)は読んでいた本を片手に呟いた。琴乃はこの事務所からそう遠くない高校に通っている3年生だ。

「今時探偵に依頼するような事件は起きませんよ。ちゃんとバイト代払えるんですか?」

「雇ってから俺が買った探偵っぽい椅子にずっと座って本を読んでるやつにバイト代が出るわけないないだろう」

「今ここでバイト代が払われていない事件が起きてますよ。名探偵の連太郎さん解決してください。」

と不毛な会話をするの」約1週間は続いている。

「座って本を読んでいるだけ、、というのは認めますがおじさんと会話をしてあげてるだけで十分な仕事だと思うんですが」

「本を読んでるだけと認めたな。ってちょっと待て、26はおじさんではない」

「18の私から見たらおっさんですよ」

「8年後おばさんになった君を見るのが楽しみだ」

年も離れた2人だが息だけはピッタリである。

「そういえば事件ありましたよ」

思い出したように琴乃が言うと連太郎は探偵っぽい机から身を乗り出して続きを促す。

「中間テストが近いので明日からここで勉強しますね」


本日も平和な事務所に事件は起きない。

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