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短編メイカー  作者: papiko
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こどもの日

 私には三人の子供がいます。いちばん大きい子がかける二番目は二卵性双生児。女の子が由良ゆら、男の子が由樹よしき


 双子は可愛いの。保育園の年長組さん。今日が子供の日だから、みんなで近くの公園にお散歩に行くことにした。

 お天気も良くて、私は、はりきってお弁当を双子たちの好きなものでいっぱいにした。からあげ、卵サンド、ラップ寿司、ピーマンの肉詰め、筑前煮などなど……お正月のおせちにも負けない力作お弁当。そしてデザートにはイチゴと枇杷びわあんず

 とっておきはペットボトルのサイダー二本。デザートのフルーツと合わせて簡単フルーツポンチ。お弁当をクーラーバックにつめながら、もう顔がにやけてしまう。


 双子たちは朝から大騒ぎ。お弁当を作るのを手伝うといってくれたけど、日ごろ手伝ってくれているので今日はおやすみよといって、公園で遊べるものを準備してとお願いした。


 双子たちは、「は~い」と元気よくお返事して、おもちゃ箱から外遊び用のものを物色している。だいたい準備ができたころ、一番大きな子供が目をさました。


(お弁当できあがっててよかったわ)


 私は洗面所に向かう彼の姿を見て、少しほっとする。そして全員がそろったので、一番大きい子が荷物をもち、私と双子たちは手をつないで公園まで行った。このあたりで一番広い緑地公園。遊具からテニスコート、ランニング用トラックなどもある。まずは、レジャーシートを引いて、風に飛ばされないようにクラーバックをどすんとシートの真ん中に置いた。双子たちはグローブとボールを持ってきていて大きい子にキャッチボールをねだる。しぶしぶのていで彼は双子の相手をしていたが、最後は彼が夢中になっていた。その間、私は大好きな小説をぱらぱらめくり、みんながおなかをすかせてもどってくるのをまっていた。


「おかあさん、おなかすいたぁ」

 双子が満面の笑みでそういう、大きい子は息が切れていてしゃべれない様子。とりあえず、水出しした緑茶をそれぞれの水筒に入れておいたので、それを渡して水分補給をさせた。私がお弁当を広げると歓声があがる。全員、疲れが飛んだのか目がキラキラしていた。


(本当にこういうときって幸せだわ)


 ウェットティシュでみんな手を拭いてから、いただきますと行儀よく言う。日ごろから、いただきますは命をいただきますなのよと教えているせいか、子供たちはしっかり手をあわせ、いっせいに好きな物からどんどん食べていった。


(この食べっぷりの良さがまた可愛いのよね)


 慣れない箸を一生懸命つかって、食うにはまる子供たち。ああ、至福のときと私は思う。仕事の嫌なこともつかれもいっぺんに吹き飛ぶ瞬間だ。

 最後に、私がデザートを詰めたタッパを出すと、子供たちはもう食べられないよといったけど。

「じゃあ、こうするとどうかしら」

 私はタッパに冷たいサイダーを注ぐ。

「あ、食べる。俺、食べます!!」

 一番に翔が反応した。それに続くように双子も

「ごちそうさまは、まだいってないもんね」

「そうだね、いってないよね」

だから、食べると言った。


 綺麗に完食した子供たちは眠ってしまった。私は自分の着ていたパーカーを双子にかけた。それを見ていた翔が言う。

「俺、膝枕がいいなぁ」

「そういうことをここで言う?」

私は呆れるようにそう言ったけど、内心はちょっとうれしい。

「ダメか?たまにはいいじゃん?」

「はいはい、今日だけね」

へへっと翔は笑って、私の膝枕で眠った。


 しばらくして、双子が目を覚ます。私は唇に人差し指をあてて静かにの合図。双子は翔をみて、二人で着ていた私のパーカーを彼にそっとかけた。

「お父さんおつかれさまだね」

「ほんとだね」

「昨日も徹夜だったからね。起きるまでシーね?」

 双子はうなずいて、近くの遊具に遊びにいった。


 そう、私の膝ですやすや眠る大きい子。翔は私の可愛い旦那様。

 小説家として走り出したばかりの可愛い可愛い旦那様。



【終わり】


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