願掛け
×ホラーが苦手な方は、お逃げください。
訂正
〇ホラーじゃなくて猟奇モノになるそうです。苦手な方はお逃げくださいw
願掛けのために髪を伸ばしたの。あなたとずっといっしょにいたくて。でも、貴方はこっちを見てもくれない。こんなに熱いまなざしで、一人ぼっちになっても見てるのに。貴方の視線はあの子の方ばかり追いかけてるのね。たしかに彼女は同性のわたしからみても、美人だわ。でも、性格はひどいのよ。貴方は知らないでしょ。わたしをみんなに無視するようにしむけたのは、あの子なのよ。わたしをかばうふりまでして、みんなから尊敬されたいだけのひどい子なのに。
「伊佐木さん?顔色悪いけど、大丈夫」
「ええ、ご心配なく」
ほら、こうやってわたしの心配なんかして。本当は、わたしが根をあげるのを、助けを求めるのをまっているだけなんだから。それなのに、みんなわたしが悪いみたいに言うのよ。
「稚奈ちゃん、本人が大丈夫っていってるんだから、大丈夫だよ。ねぇ伊佐木さん」
「ええ」
わたしは気分が悪いけれど、平気なふりをするの。いつものこと。
ああ、なんてひどい女なの。貴方をそでにするなんて!ちょっと美人だからっていい気になって!いいわ。あなたがあの子を好きだというのなら、あの子があなたの物になるようにわたしがんばるわ。あなたとずっといっしょにいたいと願って伸ばしてきた髪だけど。卒業したらわたしたち離れ離れになるのだもの。願掛けは失敗してしまったのね。きっと何か生け贄が必要だったのかもしれない。もっとちゃんとした願掛けの方法を調べるべきだったわ。わたしが悪いの。だから、せめてあなたにあの子をあげるから。あたしの髪の毛を切って、願掛けを解くわ。きっとあなたが喜んでくれるように。
あたしは切った長い髪を手にして、試しに広げてみた両手に捧げ持つ。重くはない。でも、この長さなら十分に役立つわ。あとは、必要なものをそろえなきゃね。待っててね。卒業式までに間に合うように。内緒のプレゼントを贈るから。
「省吾、あんた宛にクール便きてるんだけど。えらい重いのよ」
俺は母親にいわれて、玄関においてある小包をリビングまで運んだ。確かに異様なほど重いし、宛名は俺になっている。
「送り主は……伊佐木桂子?」
「知り合い?」
「たしか、クラスにいたけど……口きいたことねぇよ」
「ふぅん……生ものってあれじゃない。三年分のチョコレートとか」
母はにやにや笑う。
「なんだよ、それ。気色悪いな。とにかく、あけてみるけど……」
俺は、しっかりとまきついているガムテープをはがし、それをあけた……。
『速報です。今朝、T市で発見された首のない遺体の首が見つかりました。被害者は三原稚奈さん、十八歳。首はクール便で同級生に送られたということで、現在、送り主である少女に事情を聴いているということです』
【終わり】
診断メーカーより
お題は『スケープゴート(生け贄)・一人ぼっち・かみの毛をきる・試しに広げてみた両手・内緒のプレゼント』です http://shindanmaker.com/35731
五つも書くのが無理だったので、一話に突っ込みました。