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はじまり

　白煙で満ち満ちたこの暗き場所も、彼女たちからすれば生活の必須の場。黒のリトル・ウィッチ一族は、どの人間も踏み入れたことのない大きな洞窟の、そのまた奥の隠された場処を一同の住処としている。

　私たちはここでその中の一人、メグという娘――魔女に年齢というものがあるのか、いずれ明らかにされるにせよ――に焦点をあて、彼女たちの生活を覗いてみる。メグは一同の料理を作る班、通称「ウラルデ」というグループに配属されてはや一年。彼女はどちらかというと元々おっちょこちょいな性格であり、料理の腕もこの一年間でじょじょに磨いてきた。それでも一人前というにはまだ足りない。

　メグにも、他の魔女たちと同じくらい一般的な夢がある――一族にかけられた千年の呪いを解き、みんなの体が元の大きさに戻ること。そして、私たちをそうさせたビッグ・ウィッチと話をつけ、世界をどの生き物たちも同じように安全に、幸せに暮らせるようにすること。一同はそのことを一度たりとも忘れていないし、メグもその為なら一同に何だって投げ出せた――たとえ自分の大の苦手のカエル・スープを作る時でさえ。しかし今は、一人前の料理を作れるようになることが目先の目標だ。

（続く）