月祭り
魂のかけら 蒼い月
主の御許へ 導きたもう
身体朽ち果てて 塵にかえろうとも
永久に残るは 我が思い
村はずれの森の中。遠くに聞こえる鎮魂歌。
顔を上げれば葉をすっかりなくした木々の隙間に、青白い満月が見える。
今日ほど美しい満月は他にはないだろう。そう悠斗は思う。
だって今日は年に一度の特別な日。
月が濡れ、雫が地上に降り注ぐ日。
その雫は死んだ人の魂の欠片とよばれていた。大切な人を亡くした人たちは、月の雫を集め川へと流す。
その年に死んだ人の魂が地上に還り、ハライソへと旅立つのだ。
それを人々は月祭り、と呼んでいた。
けれど子供たちはその祭りには参加してはいけない。教会に集まり、祭りの終わりまで鎮魂歌を歌わなければいけない。
それは昔から決められていること。
しかし悠斗はその掟を破り、ここにいる。
バキッ……と枯れた枝を踏む音が聞こえた。
はっとして振り返り、安堵する。
そこにいたのは友人の朱実だった。
白いロングコートに、首には毛皮のマフラー。手首にもファーをつけて厚手の手袋をしている。
彼は異常なまでの寒がりだ。
「やあ、朱実。ずいぶんと重装備だね」
「俺が重装備なんじゃない。君が軽装過ぎるんだ。
大体なんでこの寒さの中ハーフコートに手袋だけでいられるんだい?」
言われて、悠斗は肩をすくめる。
「僕はこれで暖かいんだもの。朱実のほうが厚着過ぎるよ」
「俺はこれでも寒いんだ」
言いながら身震いをする。
そんなに寒いかな、と悠斗は思うけれど、それはお互い感じ方が違うから考えても仕方ない。
「ねえ、朱実。教会を抜け出すの、大変じゃなかったかい?」
その言葉に、朱実は首を横に振る。
「そんなことないさ。
ちょっと具合が悪いって言ったら奥で休んで寝ているように言われたよ」
「でも大丈夫なの? ばれたら大変だよ」
「それは君も一緒じゃないか」
朱実の言うとおりだった。二人の行為が大人たちにばれたらただではすまないだろう。
それを承知で悠斗も朱実もここにいる。掟を破ったらどうなるのかは知らない。
一週間の外出禁止か、二週間か……どんな処分になるかなんて、今はどうでも良かった。
今日は大事な月祭り。
死んだ友に別れを告げる、大切な日なのだから。
月の涙 手のひらに
ハライソへと 導きたもう……
ふたりは空を見上げていた。
青白い月から雫が降り注ぐ。それはまるで雪のようだった。
初めて見る光景に、悠斗は歓声を上げる。
「うわぁ……」
教会の窓はカーテンで閉められて、外の景色なんて見せてもらえなかった。
こんなに綺麗だなんて思ってもみなかった。
この中に、友の魂の欠片もあるのかと思うと不思議に思う。
もう肉体は塵に還ってしまっているのに、魂はまだこんな形で残っているんだ。
手をかざせば、手のひらにたまっていく月の雫。
青白い光を放ちながら、球体にかわっていく。手のひらの中で球体は徐々に大きくなっていった。
その中に見えたのは、死んだ友の姿だった。
「月祭りは不思議なことばかりだね。どうして僕たちのところには織部の欠片が降るのかな?」
手のひらの球体を覗き込んだまま、悠斗は言った。
「先生が言っていたじゃないか。魂の欠片はその人のことを想う人のところに降るって。
俺たちの上に降り注ぐのは織部の魂なのは当たり前だ」
朱実はポケットに両手を突っ込んだまま月を見つめている。
地面に落ちた雫は、そのまま土に吸収されることなく、光を放っている。
見たことはないけれど、蛍の大群というのはこういうものなのだろうか。
命が尽きるまでのほんの一瞬の輝き。これは命の炎なのかもしれない。
「朱実。絹の袋は持ってきている?」
「持ってきているよ」
朱実はコートのポケットから白い巾着を取り出した。巾着の口をあけて、悠斗に差し出す。
悠斗はその袋の中に集めた雫を入れた。
袋の中で光る玉。これをこぶし大の大きさになるまで集めたら川に流す。
ふたりはしばらく無言で同じ作業を繰り返した。
遠くに聞こえる鎮魂歌。
音もなくふりそそぐ月の雫。
想うのは友のこと。
これで彼はハライソにいけるだろうか?
『悠斗……』
声が聞こえた。
気のせいかと思ったけれど、それは確かに聞こえた。
懐かしい友の声。
『悠斗……』
はっとして、手の中の雫を見つめる。
雫の中に見える友の顔。
目は落ち窪んで、生気のない顔をしている。
彼は確かに口を動かして言った。
『悠斗……』
『一緒に行こう……ハライソに……』
かっと開かれた織部の目。
刹那、雫の放つ光がだんだんと強くなった。
「な……なに……!!」
雫からあふれ出た光は、悠斗を包み込む。
遠くに朱実の叫び声が聞こえる。
何が起きたのか理解する間もなく、悠斗は意識を失った―
第一の情景
悠斗は丘の上にいた。
そこは彼が良く知っている場所。
教会の裏にある、村全体を見渡せる丘。
ここは昔から悠斗たちの遊び場だった。
学校からの帰り道。
家に帰りたくないとき。
いつも悠斗たちはここに来ていた。
空を見上げれば太陽がさんさんと輝いている。立っているだけで汗がにじんでくる。
よく見れば悠斗は半そでのシャツを着ていた。ということは本当に夏なのだろう。
先ほどまで確かに冬だったのに。何で突然夏になる?
「ねえ、悠斗」
声が聞こえた。
聞き覚えのある、そして懐かしい声。
悠斗の隣に誰かがしゃがんでいた。
しゃがんで、村を見下ろしている。
それが誰であるのか、悠斗はすぐに悟った。
「なに、織部」
今はもう亡くなってしまった友の名前を、悠斗は口にした。
「夏休みはどこかに行くの」
その言葉に悠斗は首を振る。
「ううん。今年はどこにも行かないつもりだよ。だけど、朱実が何かを計画しているみたいだよ」
「身体が弱いのに? お父さんが許すとは思えないけれど」
そうだ。
悠斗もそう思っていた。
朱実の父親はとても厳しくてとても朱実を大事にしている。
それをいつも朱実は息苦しく感じていた。
それでも夏休みに外出……しかも外泊なんて許すはずがないと悠斗は信じていた。
「朱実はいつも突拍子もないことを考えるからね」
笑いながら織部が言う。
「去年のキャンプも無謀だった」
去年のキャンプが何のことなのか一瞬考えてしまう。けれど、口は勝手に動いた。
「あの時ね。朱実が突然キャンプしたいって言い出して、うちにあったテントを持ち出して」
「そうそう。
森の泉端でキャンプすることになったのはいいけど、朱実ったら何にも出来ないんだもの」
織部も悠斗も食事くらい作れるし、テントを張るのもできた。
けれど朱実は完璧主義者で知識は沢山持っているのに、行動に出来ないことが多い。
基本、不器用なのだ。
包丁で指を切ったりして、手にたくさんの絆創膏を張る羽目になった。
けっきょく彼は、指示を出すだけにとどまった。
その夜キャンプファイヤーをやって、そうしたら、朱実のお父さんが迎えに来て……
「けんか、すごかったね」
そう、朱実とお父さんはすごいけんかになった。
内容は良く覚えていない。だけど、なぜか、朱実は泉に飛び込んでしまい……
「朱実は風邪ひいて、お父さんに連れて帰ってもらったんだよね」
「うん。なんで、あんなことしたのかな」
言いながら、悠斗は首をかしげる。
そして至る結論は、朱実はそういうやつだってこと。
「今年は何をやってくれるのかな、朱実」
織部の言葉に、悠斗は言葉を呑んだ。
今年の夏。
悠斗たちはどこにも行かなかった。そう、どこにもいけなかったんだ。
君が、死んだから―
声が聞こえる。聞き覚えのある声が。
どこだ? どこにいるの?
君は―どこにいるの?
「悠斗!」
はっと、目を覚ます。
目の前には見慣れた朱実の顔だった。
彼はふっと、大きく息を吐いた。
「よかった。起きなかったらどうしようかと思った」
「……ここは?」
すると、朱実は首をかしげた。
「わからない。森なのは確かだけど。俺たちの知っている森じゃないみたいだ」
その言葉に悠斗は辺りを見回す。
たしかに森なのは間違いなかった。
うっそうと茂る木々。
枝の間から見える満月からは、雫は降り注いでいなかった。
「あれは……」
悠斗は息を呑んだ。
月に何かが上っていくのが目に映る。
たぶん月の涙。
月の涙がどこからか月に上っていく。
いったいどういうことだろう?
月が涙を流す夜 一度は旅に出た君が
この地に戻る最後の日 君と永久に別れる日……
子供の歌う声が聞こえた。
ふたりは顔を見合わせる。
彼らの知っている鎮魂歌に良く似ているが、少し違う歌。
「行ってみる?」
悠斗の言葉に朱実はうなずいた。
御使いたちよ どうか導いて
遠い故郷へと どうか導いて
歌はやむことがなかった。
悲しくて、でも優しい声。
歩いていくと石ころがたくさん転がった川に出た。
かちん……かちん……
石と石がぶつかる音が聞こえる。
音のする方角を見ると、そこには髪の長い少女がしゃがんでいた。
どうやら石を積んでいるらしい。
月が涙を流す夜 一度は旅に出た君が
この地に戻る最後の日 君と永久に別れる日……
てっぺんまで積み重なって崩れていく石の山。
いったい少女は何をしているのだろう?
ふっと、少女が顔を上げた。
悠斗たちを見て立ち上がる。
きょとんとした顔で目を瞬かせている。
八歳くらいだろうか?
長い黒髪はくしゃくしゃで、着ている服もきれいとはいえなかった。
かろうじて靴は履いているが、靴下は履いていないようだ。
「お兄ちゃんたち、迷子?」
少女の問いに悠斗たちは顔を見合わせる。
迷子。といっても間違っていないかもしれない。
だけどあっているともいえない……きっと。
なにせここがどこであるのか、わかっていないのだから。
「たぶんね。君はここで何をしているの?」
朱実が言った。
「石を積んでいたの」
言いながら少女はその場にしゃがんでまた石を積み始めた。
崩れても石を積んでいく。いったい何の意味があるのだろう?
「なんで石を積んでいるの」
「おとうさんとおかあさんのため」
答えながら少女は石を積み上げる。
言葉の意味が全くわからず、悠斗は朱実を見る。
彼は何か考えているらしく、手袋の上から右手の人差し指の付け根あたりを噛んでいる。
少女は石を積みながら言った。
「お兄ちゃんたちはお月様に帰らないの?」
「月に帰る?」
「うん。あたしね、もうすぐお月様にかえるんだよ。お兄ちゃんたちも一緒にかえろうよ」
積み上げられた石がまた崩れた。
少女はその崩れた石を見つめている。
「月が涙を流す夜、初めてお月様にかえれるの。お兄ちゃんたちも一緒に行こうよ。そうすればさみしくないよ?」
意味が分らなかった。月にかえるってどういう意味だ?
少女はすっと立ち上がった。
「あたし、いかなきゃいけないの。お兄ちゃんたちはまだ行けないの?」
「うん、たぶんね」
朱実が答えた。
すると少女はうなずいて、走り出した。
「さよなら、お兄ちゃんたち」
森の中に消えてく少女の背中を見送って、そしてまた静寂が訪れた。
第二の情景
朱実は学校にいた。
季節は夏らしく、開け放たれた窓からは生暖かい風しか入ってこない。
半そでの制服に身を包み、彼は自分の席に腰掛けて本を読んでいた。
教室には彼のほかに誰もいなかった。
珍しいことだと思う。
なんでひとりでいるんだろうか。
いつも悠斗がいるはずなのに。どうしていないんだろう。
開けっ放しの教室の扉から、誰か入ってきた。
朱実は顔を上げて、思わず目を見開いた。
見間違うはずもない。
死んだはずの友が、まっすぐこちらに向かって歩いてくる。
「早かったじゃないか」
口が勝手に動く。
織部は朱実の前の席に腰掛けた。
「うん。僕はね。でも悠斗はまだかかりそうだよ」
「だいたいレポートをぎりぎりにやるなんてどうかしているよ」
言いながらこれが何の場面なのか思い出す。
夏休み前、試験の代わりに出されたレポート。
朱実は出された翌日には仕上げてしまったのだが、クラスの大半の生徒はぎりぎりになって慌てふためいていた。
織部も悠斗もそのひとりだった。
「そうだね。僕らはのん気すぎるのかな」
いいながら織部が笑う。
「悠斗は苦手な教科だから……今日中におわるかな」
「終わらなかったら夏休み中、補習になるじゃないか。遊びにいけなくなる」
言いながら朱実は思い出す。
結局、悠斗は課題を終わらせることができなかったんだ。
そして、バカンスは延期になった。
「やっぱり遊びに行くつもりなんだね。今年はどこに行くんだい?」
「今年は山を目指そうと思ってる。今年は流星群が見られるんだ。山にのぼって、一晩中空を見るんだ」
きっと朱実の目は輝いていただろう。
織部は笑いながら一言呟いた。
「楽しみだね」
ある夏の日。遠くない過去の映像。
映像がまるで古いビデオテープを再生したかのように不鮮明になっていく。
風景がゆがみ、そして、今度は川の中に立っていた。
正確には川の中州だ。向こう側に先ほど出会った少女が積み上げていた石の山が見える。よく見れば山は一つだけじゃなかった。
川岸にいくつも点在していた。
悠斗は隣に立っていた。いつからいたのだろう。泣いたのだろうか、目をこすっている。
「織部が死んだ日の夢を見たよ。僕、見ていないのにね。織部の死んだときのこと、僕はよく知らないのに。変だよね」
それは誰かの記憶だろう。たぶん織部の。そう口にしようとした時だった。
川の上流から、誰かが船に乗ってやってくる。船の舳先にランプがついている。
船をこいでいるのは白い髪に白いひげの老人。
紺色のローブをまとってこちらへとやってくる。
船は中州で止まった。
老人がこちらへ向かってくる。ランプを手にして。
彼はふたりから少し離れたところで立ち止まった。
ランプを掲げ、静かに言う。
「なぜここにいる」
なぜと言われても。
少年たちは顔を見合わせる。どう説明したらいいかわからなかった。どうやってここに来たのかもよくわかっていないのだから。
ふたりが答えずにいると、老人は言った。
「禁を、やぶったのか」
それが何を意味するのか、すぐに理解できた。
「月祭りの夜に外に出た事ですか?」
朱実の言葉に老人がうなずく。
「禁を破るからこうなる。お前たち、死にたいのか?」
老人の言葉に、ふたりは何度も首を横に振る。
死んでもいないのに、死にたいなんて思わない。
「お前たちは魅入られている。このままだと洒落では済まない。さてどうする」
どうやら助けてくれるとかそういう発想はないらしい。ただの意地悪な老人か。
「わが名はカロン。現世とハライソをつなぐ者よ」
こちらの考えを見透かしたかのように、老人は名乗った。どこかの本で読んだような記憶がある。黄泉の川の船頭だ。
カロンはひげをなで、ふたりを見据える。
「お前たちがこれからどうなるのか、それはお前たちが決めることだ。禁を犯した報いを受けるがいい」
言葉とともに、川上からたくさんの光が迫ってくる。それが魂のかけらだと気がつくのに時間はかからなかった。
迫ってくる魂のかけらたち。逃げる場所はない。ただ、迫ってくるのを待っているしかできなかった。
『行こうよ』
『ねえ君も。一緒に行こうよ』
光がふたりを包み込む。まぶしさに目を閉じる。たくさんの声が頭に響いた。
『ハライソへ。一緒に行こうよ』
たくさんの織部の声。
悠斗は耳をふさいだ。それでも迫ってくる声、声、声。
いけないんだよ、僕たちは。行けないんだ。
『なんで。友達じゃないか。なんで一緒にいられないの』
悠斗は眼を開いた。
懐かしい友の顔がある。けれどその顔は青白かった。
「なんでって……」
手を耳から離して、悠斗はじっと織部を見つめた。
「僕はまだ生きているんだ。僕はまだ一緒には行けないんだ」
すると織部は笑った。
『大丈夫だよ。だって君は今ここにいるんだ。このまま一緒に川を下ればいいだけだよ』
死後の世界。興味がないわけじゃないけれど。まだ死んでもいないのにそこに行くことなんてできるわけがない。
なんで君は、僕たちを連れていこうとするの。僕はまだ……生きていたいんだ。
織部が悲しそうな顔をする。
『ただ……いっしょにいたいだけなのに』
呟いて、織部の顔は霞のように消えていった。あとはただ、先ほどと同じ静かな川原だった。
「耐えたか。ならば帰れ。ここは生きている者のいるべきところではない」
カロンの言葉に、ふたりは顔を見合わせる。
「でも、どうやって……」
カロンは自分が乗ってきた船を示した。あれを使えということらしい。何も言わないカロンを背に、ふたりは船に乗った。すると勝手に船は動き出した。川をさかのぼっていく。
どれくらいたっただろうか。見覚えのある森が、辺りには広がっていた。船は勝手に岸へと着いた。
空に輝く満月。あたりに光る魂のかけら達。ここは悠斗たちの村。無事戻ってこられたらしい。
夢でも見ていたかのように、なんだかふわふわする。
「織部は寂しかったのかな」
悠斗が呟く。朱実は肩をすくめた。
「生きている間どんなに多くの人に囲まれていても、死ぬときはひとりさ。
集団からいっきにひとりになってしまうんだ。寂しいだろうな。きっと」
「だから僕たちを連れて行こうとした?」
そうなのかもしれない。だからと言って、彼を悪く思ったりはできない。
「掟にはね、ふたりとも。きちんとした理由があるんだよ」
聞き覚えのある声に振りかえると、そこには学校の先生が立っていた。
「あ……」
「げっ……」
厳しい顔をして、こちらに歩いてくる。
「そのまま帰ってこられなかったら、僕は君たちの両親にどう顔向けしていいかわからなくなる」
悠斗と朱実は顔を見合わせた。
そして、
「ごめんなさい」
頭を下げながら声をそろえる。
小さくため息をつくのが聞こえる。
先生が言う。
「子供の魂は安定していなくて、この世界との結びつきが弱いんだ。
だから寂しさの強い魂にすぐ引き込まれて連れて行かれてしまうんだ。
だから子供は教会から一歩も出てはいけない。連れ去られたら二度と戻ってはこられないから。
ふたりとも連れ去られなくて済んだんだね。まあ、君たちは、大人と子供の境界だからかな……」
川をたくさんの月の涙が流れていく。誰かが歌う鎮魂歌。
朱実と悠斗は先生に付き添われながら、集めた雫を川に浮かべた。
青白い光を放ち川を下って、やがて見えなくなっていた。
御使いたちよ 導き給え
ハライソへ 導き給え……
終