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蒼眼の絆  作者: yomogi125
第一部 イカれた旅行
8/9

満身創痍





準備は整った。

もう夜遅くだが、なんとか面会してもらえるらしい。

俺は今街の中心にある大きな館の、待合室でフォルテを待っていた。

館には多くのメイドがいるらしく、またそれを束ねている人物は、どんな姿かすら想像出来ない。

普通なら中年男性を想像するかもしれないが、ここは俺の中にある常識すら通用しない場所だ。

はっきり言うと想像もしたくなかった。

「フォルテ様がお見えになられました。」

一人のメイドが言った。

俺は慌てて姿勢を正し、立ち上がる準備を整えた。

待合室の大きなドアが開き、フォルテが姿を現した。

しかし驚くべき事に、フォルテは10にも及ばないであろう子供だった。

「子供!?」

おもわず声を荒げて言ってしまった。

しまったとおもい慌てて口を押さえるが、もう言ってしまったので意味はない。

周りのメイドたちが一斉に冷たい視線を浴びせ、空気が重くなってしまった。

しかし、それはフォルテの一言で収まった。

「よい、事実から目を背けても変わらぬ事だ。それに私はこの姿を、若さとすら捉えている。」

育ちのいいお坊ちゃん、そんな感じがした。

だが言葉遣いも良く、俺とは比べものにならないくらい礼儀が正しいようだ。

しかし俺は、決して舐めているわけではないが敬語を使わず、喧嘩口調で話を進めた。

「あんたがフォルテ様か、わざわざ忙しい中面会の場を設けてもらうなんて、すまなかった。」

「いや、私も毎日読書ばかりで退屈していたんだ、気にしないでくれ。」

フォルテは自分が座る前、つい立ち上がってしまった俺を先に座らせるよう手のひらを見せた。

俺は躊躇しながらも椅子に座り、話を戻した。

「上北沢さんから聞いたよ、ただの勘違いかと思ってセナさんに確認もしたけどそうだった。君は俺たちにジェフ間の異変解決をしてもらいたいんだって?」

「さすが上北沢、まさかそこまで話を進めてくれたとは。話が早くて助かるよ。」

「理解不能だけどな、どんな原理でどうやったのか、そもそも君たちは何なのかも。」

「例によって、理解したと仮定して話しを進めていいかな?」

なぜ仮定して話すのが慣れているのか、そこが理解出来なかったが話しは変えなかった。

「僕はね、君が聞いた通り、君たちにジェフ間の管理をしてもらいたいんだ。もちろん、問題解決も含めて。」

フォルテが言った。

それに続けて言葉を並べる。

「つまりどうして欲しいんだ?」

「ジェフに行って問題を解決して貰いたい。」

しばし沈黙した。

さらにフォルテが言葉を付け足す。

「無理にとは言わない、何なら今すぐに君がいた元のジェフに戻しても構わない。僕としては、半端な気持ちでやられるよりはいいと思ってるから。」

頭が真っ白になった。

やるべきか、逃げ出すか。

普通に考えたら、俺はすぐに戻せと即答するだろう。

だがしかし、今までの自分の人生を振り返ってみてどうだ?

喧嘩ばかりして、それに飽きたら家にこもってゲームばかり。

かつあげした金を食い潰し、そしてまた喧嘩に明け暮れる。

どうしようもないクズの人生だ、それがどうだ?

これを引き受ければそんな生活からもおさらばできる。

今ですら充実しているのかもしれない。

退屈な人生より、花があった方がいいのかもな…

俺は覚悟を決めた、だが、どうしても言葉が出なかった。

「そういえば君、ずっとマフラーと手袋はずさないそうだね?」

突然話しが変わった。

それと同時に、俺はフォルテを睨みつける。

「それがどうした。」

「これも上北沢から聞いたことだけど、君はリヴァに来た時からずっと外さなかったそうじゃないか。寒いわけでもない室内でも、仕事で汗をかいたとしても。どうして外そうとしないんだい?」

眉間にシワがよる。

その話は俺にとって触れて欲しくない話しだ。

それに今は関係ない、完全に挑発しているとしかおもえなかった。

「関係ないだろ…!!」

「首や手首に何かあるの?そんな露骨な隠し方してたら、絶対誰かに聞かれるはずだ。そんなんだったらいっそ隠さず…」

「黙ってろ!!」

話している途中、怒鳴りつけた。

怒りがこみ上げてきたが、すぐに悲しみに変わりそうなので、さっさと帰たかった。

「頼みは引き受ける…でも次その話をした時は、俺はすぐに頼みをおりるからな…」

「それを聞いて安心した。」

立ち上がり、フラフラとドアへ向かった。

メイドが躊躇しながらも開き、隣のメイドと小声で何かを話している。

なんだよあいつ、常識すらないじゃないか。

確かに子供ではないが、どうしても気に食わなかった。

長い廊下を歩き、途中で足を止めた。

ガラス窓から見える景色は、とても薄暗く淀んでいる。

大粒の雨が降り、その音がさらに俺を悲しくさせた。

そっとマフラーに手をかけ、少しだけ緩める。

ガラスに映った自分の首元を見て、一粒、目から涙が零れた。

袖で拭い気持ちを入れ替えようとしたが、目からポロポロと涙が零れていた。

投稿するとき数分の誤差が生じる場合がありますと書いてあったので、一話一話1時間ほどずらして投稿してたのに、リア友のYUTASOくんに話数が入れ替わることはまずないといわれて大ショックです。無駄な時間とった・・・

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