一個上
先に言います、ごめんなさい
夜が明け、太陽がのぼり明るくなってきたのと共に、少しずつ暖かくなってきた。
小鳥のさえずりが聞こえ、いつもの朝を髣髴させる雰囲気は、アニマの本能によって耳を手で押さえた。
だが、いつもの叫び声は聞こえず、広く綺麗な自分の家ではなく小汚い小さな部屋の中だった。
なにがあったのかほとんど覚えてなく、今までの事がすべて夢だと疑うほどだ。
首を傾け、ポキポキと鳴る骨の音を聴きながら起き上がる。
ソファーだったのでそのまま座ると、膝の上に毛布がかかっていたことに気付いた。
「毛布…?」
そう言った後、すぐに後ろから声が聞こえてきた。
「おはようございます、アニマさん。」
「ん?ああ、おはよう。」
声の主はやはり上北沢だった。
だが、その隣には見慣れないプロボクサーかと疑うような体型をした黒髪の男が立っていた。
「あなたがセナさん?」
思わず聞いてみる。
「ああ、そうだよ。本名は瀬野納槍、瀬野って呼ぶ人も多いけどセナでいいよ。」
若そうな雰囲気だが、やや渋い声と特徴的な老け顔は、年上と思わせるには完璧なパーツだった。
しかし老け顔と言っても、大学生らしい顔だが。
「呼び名を聞いて外人かと思っていたのですが日本の方でしたか。失礼ですが年齢は?」
「18、びっくりするだろ、こんな顔じゃ。」
「でも、男性ならそれくらいがちょうどいいとも思いますよ?」
会話に上北沢が入ってくる。
それはごもっともだ、18歳くらいになると、大人として見て欲しいものだ。
大人に見えるなら酒も買えるし、本当にそれくらいがちょうどいいのだ。
最も俺はイタリア人のイタリア在住なので、17の現在でも酒は飲めない事は無いが。
「それで、アニマ君はいくつなの?」
「おれ…僕は17です。」
「お二人とも見掛けが極端ですね。」
上北沢がクスクスと笑いながら言った。
「1歳差でこの身長差か、ちっちゃいなぁアニマ君は。」
彼は自分の首元に手を当て、身長差をこれ見よがしに見せつけた。
「…とにかく!今はやることがありますよね?そっち先にやりましょうよ。」
「なにやればいいかわからないくせに。」
図星なのでなにも言い返せない。
「まあ、確かに今やるべき事と言えば、住民登録みたいのだっけ?上北沢さん。」
「はい、ほんの数分で終わりますので。」
「ならさっさと行きましょう、早く街に出てゆっくりしましょうよ。」
とにかく俺は今落ち着きがないのだろう。
それを察した上北沢が、すぐに行動に出た。
「では、行きましょうか。」
ドアをあけ、再び外に出る。
相変わらず薄暗く怪しい雰囲気なのが納得いかないが、今は我慢するしかない。
とにかく今は、落ち着いて考えたいところだった。
一二週間ほど前に連日投稿で調子に乗っていましたが、なんだか作品に不満を抱いてしまい作り溜めを削除し再び作り直すことにしました。報告なしにやっていたことは本当に申し訳ないです。