7月22日~そうだ、海へ行こう①
今更ですがツイッター始めました。名前はもちろん斉藤一和でユーザー名は@saitouhitokazuです。
佳奈姉の運転する車がグイグイと高速道路を北上していく。
結局、佳奈姉達の暴走は止められず雨は降らず体調も絶好調の俺は後部座席に座りながら流れていく景色を眺めていた。
運転席にはもちろん家族の中で唯一運転免許を持っている佳奈姉が座っており、その隣の助手席には涼姉が座っている。
そして、後部座席には右から順番に鈴葉、飛鳥、俺が座っている状態だ。
今更だけど誤解がないようにするために言うが俺は決して海へ行くのが嫌なわけではない。
寧ろ、海には行きたいと思っていたところだ。
俺が1番危惧していることは佳奈姉達が何を仕出かすか分からない事にある。
いや、それしかない。
水難事故よりも怖いよ。
「向こうには10時頃に着きそうですね」
佳奈姉がナビに付いている到着時間を見ながら言って来る。
渋滞や信号待ちがあると考えたとしても10時~11時の間には着くだろう。
「家族で海行くのって久しぶりじゃない?」
「最後に行ったのは確か・・・3年くらい前だったか」
ウキウキと話す鈴葉とは対照的に淡々と話す涼姉。
共通してることと言えば海に行くのが楽しみだということくらいか。
昨日まであんなに嫌がっていた涼姉も今日になっていきなり裏切った。
クールに振舞っているが楽しみで仕方ないオーラがバンバンに出ている。
これには苦笑いにしか出てこない。
こうなればこっちも気分を切り替えて楽しむしかない。
今日は1日海を満喫してやるぜ。
10時12分。
海に隣接する駐車場に車を止め外に出てみると容赦ない太陽の光が照りつける中にほのかに潮の香りがする。
俺は早速車の後ろからビーチパラソルとレジャーシートなどが入ったバックを持ち場所を確保しに行く。
佳奈姉達は更衣室に行き着替えをしなければならないが俺は既に下に水着を着ているので問題ない。
場所が取れ次第その場で脱げば着替えは完了だ。
こういう所は男って便利だよな。
浜辺に出ると駐車場に着いた頃から分かっていたことだがやはりうんざりする。
多い。
兎に角、人が多い。
駐車場に車がめっちゃ止まってたからもしやとは思っていたけどやっぱり尋常じゃない数の人がいる。
浜辺にはビーチパラソルが所狭しとひしめき合いながら立っており、場所を探すのは難しそうだ。
だけど、ここでじっとしてるわけにはいかない。
取りあえず歩こう。
うっ、熱いな。
太陽の光で熱せられた砂はかなりの熱を帯びており、サンダルを履いていてもサンダル越しに熱さが伝わってくる。
早く見つけないと俺が持たないな。
歩き続けると何とか人の少ないところへ出ることができた。
駐車場からは離れてるし、海の家やトイレなども遠いが贅沢は言ってられない。
ここに決めよう。
そうと決まれば俺の行動は早い。
ビーチパラソルを砂の深くまで突き立てグラつかないように周りを砂で固める。
そして、その周りにレジャーシートを引き、その上で着替えを始める。
1分もかからないうちに服を脱ぎ、それをカバンの中へと入れて終了。
後は、佳奈姉達が来るのを待つだけだ。
暫く、水平線を眺めていると俺が来た方向が騒がしくなってきた。
誰だって海に来ればテンション上がるよな。
あまり気にすることなく引き続き水平線を見ているとさらに騒がしさが増していくのが分かる。
こっちに近づいてきてるみたいだ。
テンションって人から人に移りやすいからな。
文化祭でテンション上がっていつもは寡黙なやつが大声で叫ぶなんて事もあるし。
気にする事もないだろう。
ざわざわざわざわ・・・。
流石に気になってきたぞ。
ざわざわ加減が際立ってきた。
ここまで来たら気にならないわけがない。
海から目を離しざわつく先を見て・・・絶句した。
「恭くん、お待たせしました」
まず、目に入ってきたのは佳奈姉の水着姿だった。
白のビキニタイプの水着に腰にパレオを巻いている。
全体的に大人っぽさが出ており佳奈姉によく似合っている。
そして、特徴と言うか、魅力と言うか、真っ先に目が行くところは何といってもたわわに実った果実だろう。
ぶっちゃければ胸に目が釘付けになる。
分かりきってた事だが佳奈姉は胸が大きい。
服の上からでも男をいちころにできるほどその攻撃力は高い。
身を持って経験してるからこれだけは言える。
あれはやばい武器だ。
「恭くん、さあ泳ぎに行きましょう、もちろん・・・2人きりで」
そんな破壊兵器を持った人がいきなり腕に抱き付いてきたら姉でもドキッとしてしまう。
これは反則ですよ。
イエロー飛び越えてレッドカードものだ。
「佳奈お姉ちゃんばっかり・・・ずるーい」
次に現れたのは鈴葉だった。
鈴葉が着ていた水着はスポーツブラとトランクスを組み合わせたようなものだ。
今ではこんな水着もあるんだな。
ビキニタイプという点では佳奈姉と一緒だがこっちのほうが破壊力が低い。
低いけどな・・・。
「何でお前まで抱きついてくるの?」
「お兄ちゃんが好きだから」
「それは答えとして成立してるの!?」
佳奈姉とは違う腕に抱きつかれ身動きが取れなくなってしまった。
こんな姿を他人から見られる。
どういった羞恥プレイですか、詳しく!!
「・・・・・・どう?」
飛鳥の声が聞こえたと思い下を向くといつの間にか飛鳥が足元に来ていた。
青を基本の生地にしところどころに緑色の模様が書かれているワンピースタイプの水着を飛鳥は着ていた。
飛鳥は昔から青色が似合うのでこの水着も絶妙に似合っている。
「いいと思うぜ、やっぱ飛鳥は青が似合うな」
俺の言葉に照れたのか俺の足に抱きつき顔を隠してしまった。
ふふふ、かわいいやつめ。
だが、俺の言葉を他の2人が聞き逃すわけがなかった。
「なっ、恭くん、私の水着はどうですか、似合ってますか」
「お兄ちゃん、鈴葉のは、似合ってるよね、ね」
グワングワンと左右に腕を引っ張られるので正直止めてほしい。
さて、どうしたものか。
「佳奈姉も白がよく似合ってると思うよ、佳奈姉はいつ見ても美人だよね。鈴葉にその水着はぴったりだな、鈴葉は運動神経がいいからそんな水着がよく似合ってると思うぜ」
「「ぐはっ・・・」」
佳奈姉、鈴葉共にダウン。
この場合は無理やり振り払うんじゃなくてこうやって褒めてやると簡単に解決できるんだよな。
えっ、もっと大きな問題になるって?
気にするな、今さらだ。
「恭平、ほどほどにしておけよ」
最後に現れたのは涼姉だった。
涼姉の水着はシンプルな競泳水着のようなタイプだった。
この水着は体の線を浮き彫りにするので着る人を選ぶ水着だ。
だが、その点については問題なさそうだ。
涼姉のスタイルはモデルと比べてもいい勝負をするだろう。
長い足にキュッとしたくびれ、全体的にスリムな体系をしている涼姉にこの水着はジャットフィットしている。
「ど、どうだ、変か?」
「似合ってると思うよ」
「む・・・それだけか」
あれ、褒めたつもりだったんだけど涼姉の顔が不満の色に染まっている。
どうしたんだろうか。
「もっと、ほら・・・無いのか?」
・・・もっと褒めて欲しいのか?
仕方が無いな、じゃあ・・・。
「その水着は涼姉のスタイルの良さを引き出してくれてるね。それをそつなく着こなす涼姉は流石だな」
「そ、そうか、私もそう思っていたんだ」
バタバタと腕を振り動揺を隠そうとしているが逆効果だ。
挙動不審になっている。
「取り合えず佳奈姉と鈴葉を寝かしとくか」
ビーチパラソルの陰になっている部分に2人を寝かせると一息つく。
ふう、これで一段落か。
あれ、いつの間にか姉妹を扱う能力が上がってないか。
う・・・嬉しくねえええええ。
海に来て恭平のレベルが上がった。
某RPGの音楽が頭の中に響いたのは言うまでも無いだろう。