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6月16日~事前計画はご利用的に

花粉症と風邪と鼻炎のフルコーラスや~

 「恭平、私が今から何を言うか分かるか」


夕食後リビングでのんびりとテレビを見ていると涼姉が突然そんな事を言い出した。

その顔にはどこか緊張を帯びている。


「明日から俺が学校に行けるってこと?」


「違う、もっと重要なことだ」


「じゃあ、隣の大田さんが赤ちゃんを産んだことか?」


「確かにお祝いとか準備しなきゃいけないかもしれないがもっと大切なことだ。恭平、気づいてるんだろう」


あぁ、涼姉が何を言いたいのかは始めから分かっていた。

けど、これを言うと分かっているということになり俺はそれを行わなければいけなくなるので誤魔化し続けてたんだけど流石にもう無理か。


「今週末・・・涼姉の誕生日だな」


涼姉はその通りと満足そうに首を振る。

さっきも言った通り今週末が涼姉の誕生日なのだ。

それだけならプレゼントを渡すだけでいい。

問題は・・・。


「恭平、今週末私に付き合え、異論は認めん」


こういうことです。

前に鈴葉と一緒にショッピングに行ったのをいいことに涼姉も俺と2人で何処かに行こうと考えているのだ。

もちろん俺にははいかOKかYESの選択肢しかない。

鈴葉だけってなると家庭内戦争が勃発しかねん。

っていうか絶対そうなるのが目に見えている。


「行くのはいいとしてどこに行くつもり何だ?」


「もちろん決めてある、ここだ」


上着のポケットから出したチケットにはここから少し離れたところにある遊園地の名前が書いてあった。


「これどうしたんだよ」


「くじ引き引いたら当たったんだ」


この誕生日の前にこんなチケットを当ててくるなんて。

何て強運、いや豪運。


「ここ最後に行ったの小学校くらいの時だな」


「私も同じだな」


久しぶりに行くのも悪くないかもしれない。

新しいアトラクションなんかも増えてるらしいし楽しめそうだ。


「じゃあ、週末にここに行くって事で・・・」


ソファから立ち上がり自分の部屋に行こうとする。


「ちょっと待て」


腕を涼姉に持たれまたソファに座らされる。


「何、もう話は終わったんじゃ・・・」


「まだ当日の予定を立ててないだろう」


「当日って・・・まだ涼姉の誕生日までまだ5日以上あるじゃないか」


「こういうのは早いうちから決めた方がいい」


早いほうがいいと言っても幾らなんでも早すぎるのでは。

そんなことはお構いなしに涼姉はテーブルにパンフレットを広げ赤ペンで各アトラクションに①や②などを書き込んでいく。

たぶん乗る順番だろう。


「涼姉、この番号って何を元に付けてるの?」


「混み具合や人気、あと地形に基づいた最も早く次のアトラクションへ乗ることができるルートなどだな」


「へ・・・へー、ソウナンダ」


本気だ。

この人本気で遊びに行くつもりだ。

パンフレットなのにここからみると戦争の為の戦地説明をさせられている気分になる。

遊園地は戦場。

涼姉の中ではそんな風になっているのだろうか。


「おい、聞いているのか、恭平」


「聞いてる、聞いてるって」


「ここのアトラクションに乗ったら次はちょっと遠いがここに行く。この時間帯はここのアトラクションは混むからな。あと・・・」


楽しそうに説明する涼姉の顔は久しぶりに見たような気がする。

いつもクールな涼姉がこんな楽しそうにしてるんだ。

俺も涼姉を楽しませるように頑張らないとな。


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