6月2日~体育祭④
ブラコン!!の個人プロフィールが終わる気がしない。以外に難しい・・・。
「今から昼食休憩に入ります。第5種目の綱引きは1時間後に放送で集合を呼びかけるので放送され次第出場者は集合場所に集まってください。」
アナウンスが流れるのを聞き涼姉と共に保護者テントへと向かう。
昼食の弁当は佳奈姉が作って持ってきているので一緒に食べることになっている。
修也も誘おうと思ったのだが俺が気づいた時にはもう居なかった。
きっと連れ去られたのだろう。
誰にとは言わないが・・・。
「何とか午前の部は1位で通過できたな」
「そうだな。だが、油断は禁物だ」
1位は俺たち青組だが僅差で2位に坂上の赤組がいる。
確かに油断したらすぐに逆転されてしまう。
午後からも気合入れていかないとな。
「佳奈姉、来たぜ」
「あっ、恭くん涼ちゃん、お疲れさま」
佳奈姉の下に行くとすでに弁当が広げられていた。
重箱という何時ぞやの安住が持ってきた弁当と同じくらいの量だが5人もいれば食べられる量だ。
一番下におにぎり、2段目には筑前煮やサラダなど野菜中心、3段目は唐揚げやウインナーなどの肉類が入っている。
運動して腹が減ってるからな。
この匂いは堪らなくいい。
「はい、恭くん」
「ありがと、佳奈姉」
佳奈姉から紙皿と割り箸を貰いおにぎりや唐揚げなどバランス良く適当に取る。
すると、飛鳥が立ち上がり俺のいつもの定位置に来た。
俺が胡坐で座っている所に座るのが飛鳥の定位置となっているのであまり気にしない。
佳奈姉がいつも飛鳥を羨ましそうに見ているが気づかない振りをしている。
飛鳥だからまだいいが佳奈姉がこんな所に座ったら絵図的に宜しくない。
あぁ、よろしくない。
「お兄ちゃん、はいお茶」
「サンキュー、鈴葉」
紙コップに入ったお茶を鈴葉から受け取る。
一口飲むと冷たいお茶が喉を潤していくのが分かった。
運動後の飲み物は数倍上手く感じるよな。
それと、お茶は濃いのに限るぜ。
それにしても家の家族はよく気が付くよな。
俺が何が欲しいって言う前に持ってきてくれるもん。
気が付きすぎて恐いくらいだ。
便利だから別にいいけど。
さて、もうそろそろ食べ始めるとするか。
まずは唐揚げを・・・。
「・・・・・・あーーん」
飛鳥が唐揚げをフォークで刺して俺に向けてくる。
・・・ここは気づいて欲しくなかった。
見てみろよ、飛鳥。
涼姉がものすごく険しい表情を浮かべて俺たちを見てるぞ。
佳奈姉と鈴葉は先にやられたって顔をしている。
2人とも俺が唐揚げ食べたいって分かったの!?
そこまで行くともはや超能力の類だぞ。
さっきまで楽しい家族団欒な雰囲気が修羅場が発生しそうな雰囲気に一転だ。
「恭くん、私のも食べてください」
「お兄ちゃん、私のも」
2人とも唐揚げを俺に食べさせようとする。
唐揚げばっかりいらねぇよ。
「・・・あーーーん」
飛鳥も依然として唐揚げを俺に向けてくる。
ここは・・・腹を括るしかないか。
俺は覚悟を決め3人の唐揚げを一気に口の中に入れる。
口の中が唐揚げでいっぱいだ。
「おいしいですか、恭くん」
「ふぉくふぉいふぃい(すごくおいしい)」
「それはよかったです」
佳奈姉は今ので分かったのか。
凄いな、ほとんど言えてなかったぞ。
お茶で流し込み一息つく。
唐揚げで窒息する所だった。
危ない危ない。
「恭平、その、えっと、あーーん」
顔を赤くしてモジモジと箸でおにぎりを食べさせようとする涼姉。
完全にタイミングがずれてるけど・・・。
そんな涼姉がめちゃくちゃかわいいと思ったのは家族には悟られてはいけない。
俺の生活が危なくなるからな。
こうして楽しくも危険な昼食は過ぎていった。
午後からも頑張ります。