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5月23日~告白そして玉砕

ほんと・・・最近忙しい。あぁ、アニメが溜まっていく

 丹波高校の体育祭は6月に行われる。

種目は100m走や綱引きなど一般的なものだ。

今、HRホームルームで各自出たい種目を選んでいる最中だ。

俺は・・・玉入れと障害物競走と全員リレーに出ることになった。

去年も同じ種目だったような気がするがいいとしよう。

チラッと横を見ると修也が安住と二人三脚にエントリーしているところだった。

もちろん、修也の曇った目は遠くを見つめていた。

頑張れ、修也。




HRも終わり掃除の時間になった。

俺はゴミを捨てに行くため校舎裏に来ている。

校舎裏に焼却炉があるためそこまで行かなくてはならない。

正直・・・めんどくさい。


「付き合ってください」


校舎裏に付く直前にそんな声が聞こえてきた。

もちろん俺に向けて言われたわけではない。

告白か・・・声から察するに男子生徒だな。


「すまないが君と付き合うことはできない」


・・・あれ、何か聞きなれた声が。

角から顔だけをチラッと出すと1年だろうか・・・男子生徒と涼姉りょうねぇがいた。

見た目はさわやか柑橘系男子だった。

つまり、男子生徒が涼姉に告白して玉砕したわけか。

ご愁傷様です。


「どうしてダメなんですか」


なおも男子生徒は涼姉に迫ってくる。

涼姉はうんざりした様子だ。


「別に私は君のことが好きではないし、付き合ったとしても好きになる可能性は限りなく低いからだ」


ズバッと言うね、涼姉は。

佳奈姉かなねぇや鈴葉ならやんわりと誤魔化しながら断るけど涼姉はストレートに物事を言うからな。

良くも悪くも・・・。

こんな光景見ててもしょうがないので焼却炉に行くとするか。

少し遠回りになるけど迂回していこう。

あそこを横切る勇気、俺には無い。

回れ右をして歩き出そうとした時ゴミ箱から空き缶が地面へと落ちてしまった。


「誰だ!?」


涼姉が音がした角まで走ってやってきた。

このまま逃げることも可能だが家に帰った後うるさそうなので大人しく動かないでいた。


「逃がさないぞ・・・って恭平か。焼却炉に行くのか?」


「あぁ、取り込み中だったみたいだから迂回して行こうと思って引き返すところだったんだよ」


「それならもういい、要件は済んだからな。私も付いて行こう」


「別にいいって、これくらい1人で行けるし」


「気にするな、このごろ恭平と話す時間が無かったからな。話がしたいと思っていたところなんだ」


「涼さん、まだ話は終わってませんよ」


そんな会話をしているとさっきの男子生徒が角から現れた。

その男子生徒は俺を見るなり表情を険しくさせた。

分かりやすく言うと、俺を睨んできた。


「涼さん・・・誰ですか、その人」


男子生徒は若干声を低くして言った。

おぉ、恐い恐い。

怒った佳奈姉の100分の1くらい恐い。


「私の自慢の弟だ」


「お前が噂の・・・」


噂になってるの、俺って。

そんな情報初めて知ったよ。

それと涼姉さりげなく自慢のとか付けないで、恥ずかしいから。


「噂ってどんな?」


恐る恐る男子生徒に聞いて見ると案の定めちゃくちゃ嫌な顔された。

えっ、何・・・俺が悪いの。


「あんたが家族からモテてるって話だよ」


そんな噂誰が流したんだよ。

いや・・・別に流れてても不思議じゃないけどさ。

それと、俺の方が年上だからな。

言葉遣い気をつけろと叫ぶ・・・心の中で。


「家族からモテるっていいことなのか?」


「当たり前だろう」


今にも泣きそうな男子生徒。

いったい何がそんなに羨ましいんだろうか。


「涼さんからモテるとか夢みたいじゃないか。それに、聞いた話だと美人の姉とかわいい妹までいるらしいな。このリア充が」


完全に私怨じゃねぇか.

しかも理由が思ってたよりくだらねぇ。


「涼さん、こんなやつのどこがいいんですか」


おい、今さらだけどもうそのあたりにしといた方が・・・。


「・・・今何て言った」


あぁ、時すでに遅し。

これからこいつは地獄を見るだろう。

さらば、男子生徒・・・。


「こんなやつのどこがいい・・・」


「私の前で恭平の悪口を言うやつは許さん!!」


涼姉完全にキレてるな。

こうなると佳奈姉以上に手が付けられないからな。

自然消滅を待つとしよう。


「えっ、涼さん」


男子生徒は完全に怯えていた。

チワワの様に震えだしている。

可哀想に・・・同情はしないぜ。


「さぁ、生徒会室にでも行こうか。何すぐに済む話さ・・・」


「あの・・・えっと、すいませんでした」


風のように走り去る男子生徒。

取り残される俺と涼姉。

何だ、この状況・・・。


「涼姉、恐い顔になってるぞ」


「おっと、私としたことが・・・これでどうだ?」


いつものキリリとした涼姉に元通りだ。


「大丈夫だよ」


「よし、それでは気を取り直して焼却炉に向かうぞ」


「本当に付いて来るんだ」


2人で焼却炉にゴミを出した後、涼姉と分かれて教室に戻る。

ふぅ・・・疲れたな。

何はともあれ今日もへい・・・。


「恭、助けてくれ」


「修也さん、ちょっとこちらへ・・・」


「恭ーーー」


安住に連れて行かれる修也を見て思う。

今日も平和だな~。


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