4月28日~ぴったりの恋愛小説
初めての予約投稿!!
「奥村君、これ前に言ってた小説です」
休み時間に桐原が猫の絵が描いてあるブックカバーが付いた小説を貸してくれた。
「サンキュー、帰ったら読むよ」
「奥村君にぴったりな小説だと思いますよ」
そう言い、桐原は自分の席に戻った。
俺にぴったりな恋愛小説か・・・どんなのだろうか。
帰ってからのお楽しみだな。
帰宅後、自分の部屋に行き桐原が貸してくれた本を読み出す。
「ダメ、私たちは兄妹。こんな風になっちゃいけなのよ」
秋子が冷たく潤に言い放つ。
心なしか肩が震えているようだ。
いや、実際に震えているのだろう。
それは、この雪のせいか・・・それとも。
「それでも、俺はお前のことが好きだ。この世界でお前を一番愛してる」
潤は秋子を抱きしめた。
強く、壊れるくらいに。
自分の思いを伝えるために。
「私だって・・・私だって兄さんを愛してる、この世の誰よりも」
秋子も潤を強く抱きしめる。
自分が消えてしまわないように。
きっと、秋子は泣いているのだろう。
声を抑えていても潤には分かる。
長年共に過ごした兄妹なのだから。
「それでもダメ、私たちは兄妹なの・・・」
「そんなこと関係ない」
秋子が言い終わる前に潤は強く叫ぶ。
秋子が何と言おうとしたか、潤には分かった。
痛いくらいに分かってしまった。
自分も悩んだ。
悩んだ末に出した答えだ。
世間に認めてもらえなくても、どんな目で見られようとも、この気持ちの前には嘘はつけない。
「秋子・・・俺のことは嫌いか」
その問いに秋子は
「嫌いなわけないよ・・・だから、兄さんには幸せになってほしいの」
ついに堪えきれず嗚咽交じりに言う。
俺の幸せか・・・。
「秋子は俺が幸せになってほしいんだな」
「・・・・・・うん」
だったら答えは出てる。
俺が幸せになる方法。
「じゃあ、秋子。俺はお前とずっと一緒にいたい。これが俺が唯一幸せになれる方法だ」
「兄さん・・・いいの、私で」
「お前じゃなきゃダメなんだよ。」
「兄さん・・・」
2人は互いの唇は引き寄せあう磁石のS極とN極のように引き寄せあい、そして・・・
「なんじゃこりゃーーー」
ジャンルが偏りすぎだろ。
桐原のやつ普段こんなの読んでるのか。
「そう言えば・・・」
桐原が奥村君にぴったりな小説だと思いますよ、と言っていたのを思い出した。
俺は桐原からどんな風に見られたのだろうか。
・・・考えるのを止めた。
考えれば考えるほど辛くなるから・・・。
二度と恋愛小説なんか読まないぞ。
俺は心にそう誓った。
後書き通り、おまけ回です。キャラ崩壊は気にしたら負けだと思ってます。