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4月26日~鈴葉とデート②

お気に入り登録が100件を超えてました。びっくりです。


 奥村鈴葉、4姉妹の中で良くも悪くも賑やかなやつだ。

佳奈姉かなねぇと同じ、茶色の髪を頭の横で短くまとめたツーサイドアップにしている。

美人というよりかわいいと呼ばれる顔立ちをしており、さらに髪型も相俟あいまって実年齢よりも幼く見える。

しかし、中学校では陸上部のエースとして活躍している。

足が速く、かわいく、さらに盛り上げ上手な自慢の妹だ。


ただし、ブラコンである。



そして、そんな妹と俺はデートをしている。

させられていると言ったほうがいいような気がするが今は気にしないでおこう。

切が無くなるからな。

・・・というわけで。

「さぁ、行くよお兄ちゃん。時間は限られてるんだから」

二駅先で電車を降りるとそこは俺たちが住んでいる所とは全然違う所だ。

デパートやファミレス、その他いわゆる若者向けの店が多く立ち並んでいる。

俺は何回か来たことがあるが何回見てもすごいな。

俺たちの町じゃこんなに車が走ってないぞ。



「早く行こうよ~」

鈴葉がグイグイと腕を引っ張ってくるので「落ち着けよ」と言いつつ歩き始める。

「まずはどこに行くんだ?」

「えっとね・・・あそこだよ」

鈴葉が指差す先には巨大なショッピングセンターがあった。

この中には服屋、本屋、雑貨など様々な店がある。

飽きることはないだろう。

「それじゃぁ、レッツゴー!!」

号令と共に鈴葉が俺の腕に自分の腕を絡めてくる。



えっ・・・。

あれ、ちょっと待って。

確かに、鈴葉はデートと言ってたけど・・・ここまでするか。

兄と妹だぞ。

そんな俺の顔を見た鈴葉は

「デートだからこれくらい普通だよ」

と言ってくる。

そんなもんか?

考えれば考えるほど分からなくなってきた。



・・・まぁ、今日くらいいいか。

鈴葉の誕生日なんだし、許してやろう。

俺の許可が下りたことでさらに胸まで俺の腕にくっ付けて来る。

妹だからと言っても女だ。

小さいが男には無い膨らみが俺の腕に当たってくる。

意識しないはずが無い。

・・・はっ。

つい腕に意識を集中してしまった。

鈴葉は血はつながって無くても妹なんだ。

鈴葉は妹、妹、妹、妹、妹・・・。



俺の気を知ってか知らずか(たぶん前者)鈴葉はショッピングセンターに着くまで必要以上に胸を当ててきた。

デートが始まってからまだ1時間も経ってないのにもう俺は精神的に限界に近づいていた。



さすがに、長時間されていると態勢ができてきたらしくあまり気にしなくなった。

さすが人間、こんなことにまで対応するのか。



「まずは、ここだね」

鈴葉が止まった場所を見ると服耶だった。

12~18歳くらいの女の子、もしくは女性にピントを合わせた色とりどりの服が並んでいた。

「いらっしゃいませ~」

うっ、ここの雰囲気はなかなか来るものがあるな。

女性物を扱う店に男性が入るのはなかなか精神的にキツイものだ。

店内には俺たち?のようなカップルがちらほら見えるがそのほとんどが俺たちのほうを向いていた。



理由は簡単だ。

鈴葉がかわいいからだ。

中学生で童顔をしていてもかなりモテる。

特に年上からモテるらしい。(本人談)

何人か彼女に耳を引っ張られる者もいた。

ご愁傷さまです。



「わぁー、これかわいい」

しばらく物色していると鈴葉は棚にあったワンピースを手に取った。

今着ているスカートとは正反対の白色をしたワンピースだ。

さらにフリルも付いている。

「試着なさりますか?」

すかさず店員が近寄ってくる。

ん~、と鈴葉が悩んだ振りをしながら俺のほうを見てくる。

「試着してきてもいいぞ」

俺がそう言うと、「じゃぁ、してくる」と言ってワンピースを持って試着室に入っていった。

ふぅー、と息をつくと店員がこっちを見てクスクスと笑っているのが見えた。

「何か?」

そう聞くと店員は

「かわいい彼女さんですね」

と言ってきた。

ハハハ、と乾いた笑いをしておく。

・・・妹なんですけどね。



「どう?」

試着室から出てきた鈴葉は黒色から一転、白色を基調とした服装になっていた。

どこかのご令嬢に見えないこともない。

鈴葉は何でも着こなすからな。

これも才能だな。

「いいんじゃないか、似合ってるぞ」

「えへへ、それほどでも・・・あるよ」

あるのかよ。

謙遜しないやつだな。

事実だけどさ・・・。

「そのワンピース、気に入ったんだったら買ってやるよ」

「えっ、いいの?」

今日は鈴葉の誕生日だからな。

誕生日プレゼントもあげてないし。

幸いこれを買うくらいのお金は持ち合わせているはずだ。

「あぁ、いいぞ」

「愛してるよ、お兄ちゃん」

いきなり鈴葉が抱きつき、さらに頬擦りまでしてきた。



ハハハ、止めろよ鈴葉。

お前の「愛してるよ、お兄ちゃん」発言で周りが引きまくってるだろ。



鈴葉自身はまったく気づいてないようだったが、俺は周りの視線に殺されそうだったことを鈴葉に後できっちりと教えておこう。



そう心に誓った。

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