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幕間1

うしろに全くストーリー進行に関係ないおまけの会話が付いています。

 アシュアの泊まっている宿はカラザの町の、本当にはずれのはずれだった。道理で見かける人が少ないわけだ。

「何でお前は今朝もここにいるんだ」

目の前に座る少女は、昨日に増して不機嫌そうにしていた。朝が苦手、というのもありそうだが。ていうかなんで部屋の中でもコート着てるんだろ。

「だからー、これからは同行するって言っただろ、一生」

そう言って俺はクロワッサンをほおばる。

 昨夜、カタストロファーを退治した後、脚を負傷した彼女に肩を貸すと言っても聞かないので、業を煮やして抱えて運んでしまった。……それが気に入らなかったらしく、宿までの道は教えてくれたが、着いた後は、昨夜は一言も喋らなかった。

「何が一生だ。ふん、絶対そのうち行方をくらましてやる」

が、今朝になると少し体力も回復したのか悪態づけるようになっていた。

「どこに行っても無駄だよ。主と剣士の繋がりはそんなに薄くないんだからな」

次はバターロールに手を伸ばす。

「…………」

不審な顔をしつつもアシュアも朝食に手をつける。……ていうかいきなりデザートですか。

「で、今日はどうするんだ? まだ動くのは無理?」

「そんなことはない。ただ町を出る前に町長……ここでの雇い主だが、あの老人に報酬をもらっておく」

ああそうか。この娘はカタストロファー退治を生業にしているんだった。こうしているとふと忘れるほど、今の彼女は普通の少女に見えた。初対面の相手には多少きつく見えるかもしれないまなざしも、長年の旅の生活を考えると仕方のないことであろうが、よくよく見ると畏怖を与えるものではなく、むしろしっかりした信念を窺わせる、清々しさを持っていた。自分と会ってからはずっと不機嫌な顔をしているように思えるが、恐らく、笑うとすごく……

「なにじろじろ見てるんだ」

一蹴。

ああ神様、俺に彼女の笑顔を見る日は来るのだろうか。




 慣れた手際で町長らしき男から礼金を受け取った後、その日だけ休んで、2人は翌日にはもうカラザを出ることにした。

「これからも頑張っておくれね」

アシュアが泊まっていた宿の経営者である老女が、彼女の手を握りながら何度もそう言っていた。そして去り際、クオも呼び止められた。

「あの娘を守ってあげてね」

無論、彼はそのつもりだ。

「案外あの娘、危なっかしいからねえ。無精だし」

「分かってるよ。安心してくれ」

と、その時。

「クオ」

その凛とした声が、初めて彼の名を呼んだ。

「早く出ないと野宿になる」

腕を組んで待っている彼女の背後には、朝日が輝いていた。

「ああ、行こう」

 そして少年少女は歩き出す。

太陽は彼らを祝福した。





おまけの二人の会話


「……そう言えばさ、剣士の……契約相手が男だったら、ど、どうするんだ」

アシュアはそれとなく尋ねようとしたがやはり無理だった。クオはぽかんとして呟いた。

「何? アシュア、そっちに興味あるの?」

「っっっ! 違うわこのデリカシなしーーーー!!!!」

晴天に響き渡る鈍い音。

ああ、せめて平手打ちにしてくれないかなあ…………。

                    (END)


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