詩 月になりたいばけもの
空に浮かぶ月になりたい
太陽じゃなくていい
夜の闇の中でいい
明るさの中で皆に気づかれる存在でなくていい
ほのかに誰かを照らす月になりたい
人に追われて
逃げた森の中
かつて暗い空間を照らしてくれた
頭上に光るあの月のように
誰かの道しるべになりたい
目立つようなものじゃないけど
皆に見られるものじゃないけど
必要とされる存在になりたい
まるまるとした月になりたい
やわらかく光る月になりたい
たまに欠けてしまうけれど
丸く完全になれる日がある
そんな月に私はなりたい
「欠けたばけものだから
人間としてあるべき姿に擬態できなかったから
そんなばけものだから」
あの月のようになりたい
いつかでいいから
あの月のようになりたい




