十四日目
禁止令が終わり、家の外に出れるようになった私は変身アイテムを持って公園に向かった。
「よし、やるぞーー!」
気合いを入れると、まだ人の少ない公園で、見様見真似で作った変身アイテム【零】を目の前に構えた。
「みなの願いで今日も戦う!デルフィニウムブルー!」
かっこつけて零の蓋を開くと、急に視界が白くなり目を瞑った。
「うえっ!?え、光って…!」
あまりの眩しさから閉じた目を開けたら、フリルが付いた水色の可愛い服を着ていた。
「え?この衣装って、戦う雫は雨の下!と同じ。色は違うけど…」
戦う雫は雨の下!に出て来る衣装に似ている物を、なぜ身に付けているのか。分からないでいると急に雨が降ってきた。そして、目の前には黒い体に敵と書かれた明らかに敵!な奴がいた。
「これって、ドッキリ?もしかして記憶が飛んでるだけで、自分で着替えたとか…いやいやあり得ないって。こいつら敵だよね。戦えって事!?いや、いや無理だって!――ってこっちに来るなー!!」
手をうにょうにょ動かしながら近付いてくるので気味が悪い。
「ちょちょちょーまって、うわーえーっと。これは、多分この状況呑み込まないと死ぬ奴だよね。分かった。この状況ツッコミたいけど今はやめとこう。戦う雫は雨の下!のヒロイン達って皆最初に変身の仕方とか知ってたよね。凄いなー。私、戦い方わかんないよ。」
ヒロインたちは武器の使い方も、変身の仕方も分かっていた。どうしよう。こうなったら…
「えーい、パーンチ!!!!!」
(殴れば何とかなるだろ☆)の精神で行くことにした。勢いよく殴れば簡単に敵は吹っ飛んでいった。
「あれ?意外と簡単かも!」
えいえい、言いながら殴ればあっという間に倒すことが出来た。
倒せば空は晴れていって、目の前に水球が降ってきた。映像を映し出した水球。
「病院?この人はいったい………――っ!!」
水球に映った人が雨男から晴れ男に診断された所が映し出された。
(もしかして、敵を倒したら雨女雨男じゃなくなる人が出て来るって事?)
「それが本当なら、もしかして私。ヒロインになれる?正義の味方に。」
敵が倒されると雨が少し弱まっていくのが戦う雫は雨の下!の演出だった。その状況に少し似ている。
「本当に私、ヒロインになれたのかな?ううん。きっとなれたんだ。じゃあこの使命を全うしないと。」
昔政府が行ったアンケートで雨女雨男は晴れ女、晴れ男になりたいと全員答えていた。じゃあ、私が敵を倒していけばその人たちが幸せになれる。
「そしたら、皆から凄いって言われる…でも、正義の味方になるってことは当然敵も作る。この場合私の敵になるのは…」