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三十日目

「お母さん。ご飯できたよーー!」

「今行くわ。」


作った食事をテーブルに並べると、お母さんとお揃いのマグコップに麦茶を注いだ。

「お待たせ。」

お母さんが席に着くと一緒に手を合わせた。

「「いただきます。」」


退院後初めて一緒に食べる朝ごはんなので、張り切って色んな物を作りすぎてしまった。絶対、量が多いのにお母さんは、美味しいと言いながら全て食べてくれた。

「無理しなくてもいいのに。お母さんより若い私の方が残すぐらいなんだから。」

「べ、べふに無理ひてなひし。」

「何言ってるか分かんないよ。」

まだ咀嚼しているお母さんの話し方が面白くって、ぷっと吹き出せばお母さんは頬を膨らまして怒った。

「しょうがないじゃない。食べかけだったんだもの。」

「分かってるよ。食器はこっちに置いといて。」


食器を置くと仕事に向かう準備を慌ただしくするお母さん。

お母さんが仕事の準備を終えた頃には、家を出なきゃいけない五分前だった。


「行ってくるね。」

「気を付けてね。今日も大好きだよ。お母さん。」

「私も愛しているわ。」

お母さんは私の頬にキスを一つ落とすと鍵を開けた。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。」

今日もまた新しい一日がこの玄関から始まった。

ーーー

お腹の傷も癒えてきて退院することが出来た私は、今日雨と遊ぶ約束をしていた。場所は某夢の国。事前に通販で頼んでいたグッズを身に付けると家を出た。

最寄り駅に着いた私は雨の姿を探した。いつもの格好で来ると思っていた私の目に映ったのは、推しキャラのフェイスポーチに、推しキャラのパーカーを着た雨だった。


「おはよう。わ、すごい!本当にそのキャラ好きだねー。」

「おはよう、夏。俺本当にこの顔が愛らしくて好きでな。」

「愛を全身から感じるよ。じゃあ行こうか。」

誰よりも夢の国を楽しむ格好の雨と一緒に歩き出した。

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