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悪役令嬢人形劇  作者: 柚屋志宇
第2章 オカルト結婚式

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2-09 アンジェリク

「枢機卿なら堂々と『勇者の祠』へ行けるわ!」


 ピンク髪に金色の瞳の美少女アンジェリクがリオネルに言った。


「リオネル、早く行きましょう!」

「ああ、行こう」


 子供のようにはしゃいでいるアンジェリクに、リオネルはにっこりと微笑みかけた。






 リオネルだけにはアンジェリクの姿が視える。


 他の者にはアンジェリクの姿が見えていない事を、リオネルは魔法学院を卒業した日の王宮の祝賀会で、婚約破棄宣言をしたときに元婚約者マリスに指摘された。

 その後、叔父である大司教から、アンジェリクは『聖女の霊魂』であると知らされた。


 ――大司教に見抜かれてしまったのね。

 ――リオネル、今まで隠していてごめんなさい。

 ――実は私は聖女の霊魂なの。


 アンジェリクは寂しそうに小さく笑うと、リオネルに真実を打ち明けてくれた。


 ――千五百年前に、私は魔王に封印されてしまったの。


 ――私の封印を解けるのは、真実の愛だけよ。

 ――真実の愛だけが、魔王の封印を打ち砕くことができるの。


 ――リオネル、私を愛しているなら世界の中心で愛を誓って。

 ――真実の愛の力で、私を解放して。


 愛する少女アンジェリクの願いを、リオネルはもちろん受け入れた。


 ――魔王の封印を打ち砕けば、私は復活できるの。

 ――そしたら私の姿は皆に見えるようになるわ。


 アンジェリクが霊魂であったことを知ったときにはリオネルは愕然とした。

 だが人間として復活できると聞いてリオネルは希望を持った。


 ――封印が解けて私が復活できたら……。

 ――リオネル、私と結婚して欲しいの。


 アンジェリクに求婚されたリオネルは、もちろんそれを受けた。


 ――世界中に祝福されて、結婚しましょう。

 ――真実の愛の力の強さを、世界中の人に知らせましょう。


 リオネルはアンジェリクを救うため、そしてアンジェリクと結婚するため、世界の中心で真実の愛を誓うことを約束した。


 ――嬉しい!

 ――二人で世界の中心へ行きましょう!


 世界の中心とは何処なのかとリオネルが問うと、『勇者の祠』の中にあるとアンジェリクは答えた。


 ――『勇者の祠』は聖都テネブラエの教皇庁の地下よ。

 ――枢機卿になれば教皇庁に入れるわ。


 リオネルは『勇者の祠』を目指すため枢機卿になることにした。

 枢機卿になるには、司教の推薦状と光魔法が必要だと、リオネルはアンジェリクから教わった。


 ――光魔法は私が協力するわ。

 ――私、聖女だもの。任せて!


 リオネルはアンジェリクの力を借りて光魔法を練習した。


 やがて光魔法が使えるようになったリオネルは、アルカナ王国中の教区を一つ一つ回ってその教区の司教と話をして、光魔法を見せてやった。

 どの教区の司教もリオネルにとても好意的で、光魔法を見せれば驚嘆し、リオネルを褒め称えた。

 そして皆、リオネルを枢機卿に推薦する書状を書いてくれた。


 叔父である大司教も二つ返事で推薦状を書いてくれた。


 ――国王の推薦があれば強いわ。

 ――王太子夫妻にまずは話を通しましょう。


 王太子夫妻、すなわち弟エルネストと元婚約者マリスは、頭が固いので説得が難しいとリオネルが言うと、アンジェリクが攻略方法を考えてくれた。


 ――大司教と国内のすべての司教の推薦状があることを言えば、王太子夫妻はきっと協力してくれるわ。


 アンジェリクの言うとおりになった。

 王太子夫妻の協力を得て、いとも容易く国王から推薦状を貰った。


 そしてリオネルは、ついに枢機卿となった。






「私たち、あと少しで結婚できるのね!」

「そうだよ、アンジェリク。あと少しで『勇者の祠』に行けるんだ」

「嬉しい!」


 アンジェリクはリオネルの腕にしがみつくと、しなだれかかった。


「行きましょう!」

「ああ、行こう。真実の愛を誓いに!」

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― 新着の感想 ―
 厨二病王子の単なる妄想の産物かと思いきや、かなりやヤバイ存在ですね、アンジェリク。一体何を企んでいるのやら。
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