新作に寄り道するもよし、ちゃんと本業に戻るなら
父親が亡くなる直前、病院で一時的に元気を取り戻していた頃、私は新作の連載小説を書き始めました。
家での24時間体制の介護に、アツ過ぎる武闘大会の執筆。
職場に再復帰し、父の死後を見据えた家庭の準備を考えると、何か明るい気分転換が欲しいと思ったからです。
新作のタイトルは、『ねこキューブ、たぬキューブ。』
元々『集英社WEB小説大賞』公募を念頭に入れていたので、規定文字数の80000文字超えで収めるつもりでした。
『ねこキューブ、たぬキューブ。』はコミカルタッチのSFアクションで、ジャンルは『コメディー』。
おふざけ気味なキャラクターの名前以外はハリウッド映画風であり、動物絡みなので主人公も女性。
1話あたり3000文字で、細かいリアリティにこだわったりもしていないので、私自身としては一番ラノベとしての、そして『なろう』での可能性を感じていました。
今振り返ると、あの『バンドー』の武闘大会と掛け持ち出来た事が驚きですが(笑)、私としてはハードロックエッセイと並び、「毎日更新する」というスキルと心構えを学ばせて貰った大切な作品ですね。
しかしながら、シリアスなバトルが連続していた『バンドー』と余りに毛色が違った為か、完結時点でのポイントは40程度。
ただ、ハッピーエンドと完成度を私自身も気に入っていたので、『集英社WEB小説大賞』の規定に10000文字足りない70000文字で完結した作品に加筆はせず、公募そのものを取り下げました。
完結当初はやや不本意な結果となりましたが、後にこの『ねこキューブ、たぬキューブ。』は、『第9回ネット小説大賞』の1次選考を突破。
50ポイント程の作品の1次選考突破は驚きと喜びを生み、ラノベや『なろう』での可能性を感じていた私の目利きが間違っていなかった事も証明され、確かな自信を得たのです。
この自信を胸に、より評価される作品に挑戦する事も出来たのでしょうが、そのまま『バンドー』に更なる本気の全力を注ぐのが私であり、だからこそ『バンドー』は殆どピンチもなく完結したのだなと、少し笑えてきますね。
構想に3年かけた『バンドー』愛に勝るものなし!
続いての気分転換は、2021年の3月末。
『バンドー』の前半部分が終了した時でした。
『バンドー』の主人公である日系人レイジ・バンドーは、第1話で故郷のニュージーランドを飛び出してヨーロッパへと旅立つのですが、その理由のひとつが元軍人の幼馴染み、シルバを探しに行く事。
シルバはテロリストに両親を殺され、その仇討ちの為に軍人の養子になって軍隊に入るものの、出世する度に両親の仇討ちが遠くなる現実に悩み、軍を除隊して消息不明になってしまいます。
『バンドー』の前半部分では、賞金稼ぎの剣士となったバンドーと仲間達の成長に加えて、シルバの両親の仇討ちがひとつのテーマになっています。
ですから、シルバの両親の仇討ちが終わり、物語を一旦リセットするタイミングで充電期間をいただき、その間に新作の連載小説を書こうと決めたのでした。
タイトルは『野獣プリンセス 2:8 (にっぱち) 姫』。
100000文字の『ネット小説大賞』公募作で、最初で最後のハイファンタジー長編です。
タイトルから何となく推測出来るかも知れませんが、2割獣化の魔法をかけられケモミミ、尻尾、肉球姿になってしまった王国のわがまま王女様が、魔法を解くために往年の英雄達と協力して異種族との対話、そして戦いに挑むという内容ですね。
とは言うものの、主役はプリンセスというより往年の英雄達で、苦悩する姫様やキャリアの岐路に立つ中年の描写などもコミカルなタイトルにマッチせず、公募の1次選考突破はなりませんでした。
ただ、最初で最後のハイファンタジー長編と銘打って覚悟を決めただけに、これが最後のハイファンタジー作品となっても悔いはありません。
1日だけでしたが、日間異世界転生・移転ランキングに入れた事も嬉しかったです。
私はこうして時折新作に寄り道する事で、フレッシュな空気を取り込み、『バンドー』を3年半書き続けられるモチベーションを維持してきました。
勿論、2021年の3月末に充電期間を取ると決めた時は、ハイファンタジーの新作長編を4月と5月で書き、6月から『バンドー』を再開すると宣言し、『バンドー』は6月23日から再開しています。
約束は守ります。
例えその間に読者がいなくなっていたとしても、約束は絶対に守ります。
私は約束を破った後に、「いいものを作れば大丈夫だ」と切り替えられる図太い人間ではありません。
一度約束を破ると、罪悪感から逃れる為に自分に言い訳をする、だらしないキャラクターを必要以上に演じ続けなければいけません。
名誉を挽回する為に頑張る事より、色々あって変わってしまった自分を肯定してしまう。
これは一見気持ちを楽にしてくれそうですが、楽になった気持ちが創作に向かう事はないと思います。
プロを目指す方は、その自己矛盾をいつの日が乗り越える図太さを身につけなければならないのでしょう。
ですが、趣味で創作活動をしている、まず最初は書きたいものを自由に書く、というスタンスの方が周囲の雑音に惑わされない為に、一度は参考にして欲しい心構えですね。
自分で決めたルールを提示し、それに厳格であれば、ポイントやランキングに関係なく自信満々でいてもいいと思いますよ。
創作を心から楽しんでいれば、作品を書き切る事は出来ます。
創作を心から楽しめなくなっているなら、再び心から楽しめる様になるにはどうすればいいのか、自分に合ったやり方を考えてみましょう。
★本日のひとこと
長編連載が行き詰まったり、ひとつの作品に集中する時にしんどさを感じたら、新作でリフレッシュするのはアリ。
でもそれは本業に戻る、本業を続ける事が前提で、本業と並行出来ないなら期限を設けて個別に挑む事をおすすめします。
「プロ作家も完結してない作品ばっかりじゃん」と思う方は、彼等には最初に認められた1作、プロになってからヒットした1作があるという事実を忘れてはいけませんね。




