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結局この二人

「ここで確かなのか?」


「ああ。ここが最後の一点だ」


 しゃがみこんでいる徹の問いに、僕は答えた。

 朝の町だ。

 普段は生徒で賑わっている通学路も今は火が消えたようにしんとしている。


 僕達は待っていた。

 英治を殺した犯人を待っていた。


 師匠とは結局連絡がつかなかった。

 四時に電話をかけてきたということはそれまで起きっぱなしだったのだろうから、寝ているのだろうと結論づけた。

 なにせ、師匠のあの技量に不死鳥のカードがある。

 簡単に死ぬとは考えづらい。


 多少の不安はあるが、今は目の前の敵に集中しようと思う。


「それにしても、よくわかったな。僕が英治の仇討ちを考えるだなんて」


「当たり前だろ。僕になにかあったら優子を頼む、だなんてメールが来たらピンとくるぜ」


 やれやれ、とばかりに徹は溜息混じりに言う。


「来ると思うか?」


「血の六芒星の儀式を完成させるなら、ここが最後の点になる。相手は四天王に近い上位存在だ。それぐらいのことはできるのかもしれない」


 そう、僕が推察した相手の目的は、六芒星を血の点で繋ぐこと。

 長方形の上に三角を乗せたような今の犯行図も、後一点を加えれば六芒星になる。


「儀式によってなにか変わるんだろうか」


 徹は戸惑うように言う。


「なにも起こらなくても、その前に犠牲は減らすことができる」


 僕の言葉に、徹は頷く。


「そうだな」


「気をつけろよ。キィンって音と同時に不可視の斬撃がくる。電柱が真っ二つになる威力だ」


「警官から銃でもパクっとけば良かったな」


 その発想はなかったな、と僕は思う。

 異界の魔物に銃は効かない。効くのは打撃攻撃と異界で見つかった武具とカードホールドを介した術だけだ。

 しかし、今回の相手は魔物ではなく人間だ。

 銃があれば案外簡単に沈静化できたのかもしれない。


 考えている時間はなくなった。


「来たぞ」


 僕の言葉に、徹は立ち上がる。

 そして、左手に光の剣を生み出した。


 相手はやってきた。

 左手に剣を持ち、返り血に染まったカードホールドを装着している。


 その目は、漆黒を映したように光がなかった。




続く

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