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捜査開始

 優子を家に送り届けた後、なんとなく英治が死んだ場所に来てみた。

 道路には白線が引かれ、夥しい血が周囲を彩っている。


 電信柱には花束がいくつも添えてある。

 英治は死んだのだ。

 そうなのだと、あらためて実感した。


「げ、ユニコーンのホルダー」


 そう言ったのは、いつぞや異界で戦ったふくよかな女性だ。

 カードホールドにユニコーンのカードを挿す。

 体に白い産毛が生え、頭に角が生えた。


 ふくよかな女性は両手を振った。


「ちょっと待って。今回アークスは捜査の協力に務めることになっているわ。貴方と敵対する気はない」


「本当ですか?」


 疑わしげに言うのは僕の護衛の恵だ。


「本当よ。アークスとナンバースの共同戦線。呉越同舟ってことになっているわ」


「じゃあ、あんたは今回味方ってわけだ」


「そういうことになるわね」


 アークスは強い人間が多い。

 それが仲間になるというなら断る手はない。

 どこまで信用していいかという問題もあるのだが。


「どこから調べれば良いかわからずに迷ってたところよ。協力してくれないかしら」


 ふくよかな女性の言葉に、僕は惹かれた。

 英治の仇討ち。したくないと言えば嘘になる。


「協力させてください。僕は、英治の仇を打ちたい」


「そうと決まれば聞き込みね。さ、行くわよ」


「ところで貴女の名前は?」


「エリカ。とだけ覚えていてくれればいいわ」


 そう、エリカは投げやりに言った。


「そもそも私は食材庫担当で探索スキルがないのよねえ」


 ぼやくように言う。


「いざ戦闘になれば頼りになると思ってますよ」


「そう? ユニコーンのホルダーにそう言われるなら悪い気はしないわね」


 恵は剣呑な表情だ。

 元アークスな彼女だから、アークスを信用出来ないのかもしれない。


 その後、僕らは監視カメラの映像を見たり、近隣の聞き込みに努めたりした。

 けど、手がかりは見つからず、あっという間に空は暗くなった。


「そろそろ危ない時間帯ね」


 エリカが呟くように言う。


「貴方達を車で送るわ。私も戦闘タイプじゃないから今日は帰る」


「わかりました」


 車に三人で乗り込んで発進する。

 夜の師匠との訓練はどうするかな、とぼんやりと考える。

 今日の捜査は徒労だった。

 なにせ、田舎町だ。

 監視カメラも数えるほどだし、外に人もあまり出歩いていない。

 こんなので本当に英治の仇に辿り着けるのだろうか。


 けど、誰かが辿り着くはずだというぼんやりとした実感がある。

 それは思いこみかもしれないのだが。


 その時、車が急停車した。

 見ると、車の前に一人の男が立っている。

 手には光の剣。

 光の粉を撒き散らしながら輝きを放っている。


「まずい」


 エリカが言う。


「車から降りて!」


 恵が言う。

 次の瞬間、車は真っ二つに両断されていた。




続く





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