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異変

 月詠英治は探索員養成学校の精製科の生徒だ。

 ドワーフのカードのホルダーであることから半ば強制的に精製科に回された。

 カードホールドの量産や属性武器の精製などやることは幅広い。


 帰り道、一つ溜め息を吐く。

 異界で冒険したくて養成学校に入ったはずなのになんでこんなことになったのやら。

 裏方が自分の運命というなら諦めるしかないのだが。


 その点、英治の友人は上手くやった。

 誰かからユニコーンのカードを譲り受け、華々しく異界探索の前衛として活躍を始めたのだ。

 カメレオンのホルダーだった時代は不遇な境遇を分かち合う友として仲が良かったが、最近は相手が部など始めたせいで付き合いがない。


 この生活も二年目になった。

 二年生となって変わることは少ない。

 精製科はそもそも適任者が少なく先輩も後輩も少ない。

 ただ技量の向上に時間を使う毎日だ。


 不思議なものを見た。

 夕焼け道に光る粉。

 ホタルだろうか。

 いや、それにしては数が多すぎるし、美味しい水もこの辺りにはない。


 ホタルの根本に視線を送ると、そこには光り輝く刀剣があった。

 思わず、見惚れた。

 その刀は、光の粉を撒き散らしながら、輝いていた。


 本物の宝石とて、その輝きには敵わないだろう。

 その時、急に体の右側が軽くなって、英治は戸惑った。

 見ると、自分の腕の肘から先がない。


(何故)


 それ以上考えることはできなかった。

 思考を巡らせる前に、英治の首は体から落ちていた。



+++



 今日も部を終え、僕は家に帰った。

 かつてはゲームをした時間も、今は徹と優子とのラインに費やす。

 夜更けになると、僕は家を出る。


 公園に行って師匠に鍛えてもらうためだ。

 ナンバースの構成員を自称するだけあって、師匠は基本的な肉体作りが本当に上手い。


「あれ」


 辿り着いたが、いつもはコーヒーを飲んでいる師匠の姿がどこにもない。


「どうしたんだろ」


 独りごちる。

 二人で夜の公園でトレーニングをするのは暗黙の了解のようなものだと思っていたのだが。


 スマートフォンをポケットから取り出す。

 着信はない。


 いつもは師匠が座っている場所になんとなく座る。

 それから一時間しても、師匠はやっては来なかった。




続く

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