断たれた退路
下層へのワープゲートに入る。
すると、大きな部屋に辿り着いた。
周囲には沢山の女子が座り込んでいる。
「皆さんはMT?」
戸惑った様子で歌世が訪ねる。
「そうです。貴方達も来てしまったんですね」
一人の女子が残念そうにそう言う。
「と言うと?」
「帰りのワープゲートがないんです」
慌てて振り返る。
確かに、光の渦はそこにはない。
「私達じゃボスなんて倒せないし。何人かは勇気を出してボスに挑んだけど、戻ってきませんでした」
「なるほど。そう言う罠か」
歌世が神妙な面持ちで言う。
「どうします? 歌世先生」
蹴鞠が問う。
「ダンジョンのボスを倒すわよ」
歌世は迷いなく言った。
「私達で倒せるんでしょうか?」
恵が戸惑うように言う。
「大丈夫よ。蹴鞠ちゃんの言うとおりここの敵はそんなに強くはない。それにね」
「はい」
「進むしか道は残されていないのよ」
それが歌世の本音だろう。
確かにそうだ。ここで閉じこもっていれば永遠に外に出れないだけだ。
「恵。アクセルファイブとパワードツーの使用を許可するわ。今は攻撃役がほしい」
「了解です」
恵が神妙な面持ちで言う。
「なんだか変な話になっちゃいましたね」
「ええ、本当。ただ、この手の罠には覚えがある」
歌世は不服げに言う。
「アークスの手口だわ」
優子達一行に緊張が走った。
続く




