女子だけの秘密
一月が終わり、二月になった。
冬休み明けの試験も終わり、落ち着きを取り戻しつつある校内。
吉報があった。
番長の異界庁への就職が決まったのだ。
異界庁は異界に関する全ての物事を総括する庁で、忙しさは折り紙つきだが、高収入だ。
番長自身この大抜擢に困惑しており、それでも決まったのは決まったのだから遅れていた部への引退を決めた。
そして、最近少し変わったことがある。
女子達が部室に来ないのだ。師匠も来ない。
僕ら男子組はトランプとウノで部活時間を潰す毎日だ。
ある日の昼頃、優子にその件について訊いてみたのだが、女の子だけの秘密だよとはぐらかされるだけだった。
なにが起きているのだろう。
困惑しつつも、日常は過ぎていく。
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優子はある噂を聞いた。
男子に話してはいけないと硬く口止めされての噂。
聞いてみたら、試したくなった。
なので、歌世に相談したのだ。
歌世はこれ以上なくその噂を面白がった。
それで、話は決まった。
女子だけで、その、噂の異界に行こうということになった。
最近はバイトで忙しい蹴鞠も、噂を面白く思ったらしく、ついてきた。
歌世が車を出し、皆で乗る。
行き先は県境。
五十分程かかる。
滞在には三十分ぐらいしかいられないだろう。
それでも、行ってみたいという気持ちが勝った。
今回の行き先は隠れ異界だ。
まだ本業の探索者達は足を踏み入れてはいない。
少しの危険はある。
歌世の存在は心強かった。
「ここだな」
現地につくと、歌世は車を降りた。
皆、それに続く。
「楽しみですね」
恵が言いながら、カードホールドに僧侶のカードを挿す。
「本当にね」
優子も、それに続く。
「あの日までドロップするといいんだけどね」
そう言って、蹴鞠はやや戸惑いがちに自分の背に生えた六枚羽を触る。
「まあ、まずは異界探しと行きましょう」
そう言って、歌世はエルフになって周囲を探索し始めた。
五分ほどで、歌世は異界を見つけ出した。
森の中の木の葉に、光の渦が隠れている。
「それじゃ、行くよ」
そう言って、歌世はワープゲートの中に入っていく。
他の三人も、それに続いた。
続く




