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その後

 その後、僕らの大魔王討伐報告は混乱を探索庁にもたらした。

 まずそれが真実なのかどうかが論議され、異界が出現しなくなったことから次第にそれが事実なのだと信じられるようになった。

 すると世間は掌返し。


 歴史の教科書に自分達の名前が乗っていた時は流石に苦笑したものだ。

 探索庁は異界の出現がなくなったことから規模を縮小。それに伴い、アークスもナンバースも以前のような強権を振るうようなことはなくなった。


「本当に乗ってるよ」


 徹が言う。

 三年時の教科書を買いに行った時のことだ。

 現代史の教科書をめくり、自分達の名前を徹が見つけたのだ。


 僕は気恥ずかしい気持ちになった


「やめてくれって感じ」


「それだけのことをしたんじゃない。胸を張りなさいよ」


 優子は言う。

 ちなみに、MT専門学校は、ホルダー競技者専門学校として後を残すことになった。

 ホルダー競技は既に世間に浸透している。

 探索庁も、今はその取り仕切りが本業だ。


 そして、三年後。


「お前も傾いた探索庁なんかに拘らずホルダー競技に転身すれば今頃がっぽがっぽだっただろうに」


 ホルダー競技者として荒稼ぎしている徹が言う。

 スポーツニュースで彼の名前を見ない日はない。


「堅実な方が僕には向いてるよ」


 僕は苦笑する。

 今日は僕の結婚式だ。

 徹は既に結婚している。

 徹の横にいる小鈴のお腹は既に少し大きい。


 それに少し憧れるが、子供を諦めたのは自分達だ。

 それに付き合わせた優子に申し訳ないと思うべきかもしれない。


 花嫁姿の優子が近づいてくる。

 僕は、息を呑んだ。


「……似合う?」


 息を吸って、吐く。

 そして、言った。


「言葉が見つからないぐらい綺麗だ」


「それでね。報告したいことがあるの」


「報告?」


 なんだろう。こんな吉日に。


「今、私の中に赤ちゃんがいるの」


 僕は唖然とした。

 ジエンドの呪いの言葉。あれは間違いだったのだろうか。

 考えてみれば僕は人と魔の混ざりもの。血は薄いのかもしれない。


「二ヶ月目よ」


 僕は優子を抱き上げた。

 そして、頬ずりをする。


「ありがとう、頑張る理由が増えた」


「一緒にこの子を、一人前に育てようね」


 そうだ、これからも一緒だ。

 優子も、徹も。


 僕達の人生は、これからも続く。

 様々な冒険を、楽しんでいこうと思う。

 けど、一先ず、異界を巡る僕達の戦いは、これにて終了だ。



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