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聖と魔のクロス
そこで、使が膝をついた。
「過負荷を感知。起動限界に達しました」
使のホーリーレインは僕らの生命線だ。
それが途絶える。
その事実に、僕らは背筋が寒くなった。
「秘策があります」
使は言う。
「秘策?」
僕は問い返す。
「琴谷君の空間の断裂は魔の属性。徹君の空間の断裂は聖の属性。その二つが重なれば……」
「大魔王の結界も砕けると?」
「正味」
徹が口を開く。
「俺もボロボロだ。大魔王の懐まで入り込む自信がない」
「そこで私達の出番ですよ」
烈が言う。
「ね、冬馬君」
「あんま気乗りしねえけど、しゃあねえか」
そう言って、冬馬は腕まくりした。
烈と冬馬が護衛して徹を大魔王の元まで送り届ける。
ほんの数分だが長く感じる戦いになりそうだった。
「役目を終えたと……判断します」
そう言って、使は倒れ込んだ。
続く。




