孤独な戦い
そして、僕と大魔王は僕の作った異界にいた。
どこまでも広がる大空。
足場は巨大な雲。
大魔王は周囲を興味深げに眺め、僕を見て薄っすらと笑う。
「ヒーラーも捨て、タンカーも捨て、孤独な戦いを選んだか」
僕は大鎌を持ち上げる。
以前なら禍々しいと嫌悪して使わなかった魔の大鎌。
けど、今は僕の一部だ。
「元々、単独戦闘向けの能力だ。支障はない」
「どうかな。これで私の勝率は上がったと言わざるをえない。ヒーラーがいなければ君は一撃で致命傷を負うからね」
「それはそちらも同じこと」
僕の四体の分身が大魔王に襲いかかる。
そして、大鎌を振り、空間の断裂を生み出した。
大魔王の目が大きく見開かれる。
そして、大魔王は初めて両手を動かした。
以前よりも硬い防壁を生み出し、防ぐ。
自然に出ている魔王の防壁だけでは空間の断裂は防げない。その証明だった。
あとは、僕の得意とするスピードでの撹乱勝負だ。
「焦りが見えるよ、大魔王!」
「面白くなってきたじゃないか、息子よ!」
そう言うと、大魔王は僕に向かって漆黒の波動を放った。
それを避けて、僕は大魔王に突進した。
続く




