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最終決戦
「アクセルフォー!」
出し惜しみしている余裕はない。最初から全開だ。
四体の分身とともに大魔王に襲いかかる。
大魔王は身動きもしない。
五本の大鎌がその体を捉える、かと思われた。
しかし、駄目だ。
見えない防壁がそれを防ぐ。
徹の空間の断裂すら防いだその鉄壁の防御。
まずはそれをなんとかしないと話は始まらない。
(どうする? どうする? どうする?)
僕には空間断裂系の力はない。
使えるとしても異界の中でだけだ。
そこではたと気がついた。
異界の中でなら、空間の断裂の力が使える。
僕は、優子の顔をちらりと見る。
「優子。必ず、帰って来るから」
「コトブキ……?」
優子は戸惑うように言う。
「徹を頼む」
そう言うと、僕は大鎌を地につき、唱えた。
「異界、展開――」
続く




