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魔王対聖獣
僕は分身の術を使って魔王に襲いかかった。
複数の分身は胴体を。
しかしそれはフェイク。
本命はがら空きの頭部を狙う一体。
魔王は胴体の防御を捨てて、頭部を狙った分身を見事一刀両断にしてみせた。
身震いする。
もしもあれが本体だったならば、今頃――。
「お前の考えそうなことぐらいわかっている。徹の一閃が僕のコートに通用しなかったのはお前も見ていたんだろう」
僕は黙り込む。
図星だったのだ。
「さて、どうする? 防御と力の僕。素早さの君。勝負は平行線だ。延々この無限地獄で戦い続けるか?」
「……母さんの裏切りについて、どう思っている?」
僕は、思わぬことを聞いていた。
魔王と通じていた母。
それさえなければ、僕らはこんな戦いをせずに済んだ。
魔王は、明らかに狼狽したようだった。
「……僕は、父を誇っている」
「僕もだ。それは、人間の父だけど」
そして、僕はあることに気がついた。
「お前も、僕なんだな」
僕の一言に、魔王は唖然としたような表情になった。
続く




