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そこは大空の上
気がつくと、大空の上に僕はいた。
一方は晴天。もう一方は曇天。
中央で天気が真っ二つに別れている。
晴天側に僕は立っており、曇天側にもう一人の僕が立っている。
僕はユニコーンのカードを装備しており、もう一人の僕は黒いコートに大鎌を装備していた。
「お前か……僕をこんなところまで呼び出したのは」
もう一人の僕は疎ましげに言う。
「主導権争いといこうじゃないか。今までのはフェアじゃない」
「今更だ。もう勝勢はついた。徹は、死んだぞ」
そう言って、もう一人の僕は粘ついた笑みを浮かべる。
僕は憤怒した。
「死ぬものか。お前なんかに殺されて、徹が死ぬものか!」
そうだ、徹は勇者のホルダー。
魔王なんかに負けはしない。
「まあいい。後は結果で語ろう。お前が勝てば体の主導権は返そう。だが、僕が勝てば、その時こそ……」
「ああ」
僕は頷く。
「後のことは徹達に任せるさ」
そう半ば投げやりに言うと、僕は槍を召喚して構えた。
続く




