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最後に立っていたのは……
「ヒール!」
優子が必死の形相で叫ぶ。
しかし、徹は蹲ったまま動かない。
「濃い魔のオーラを纏った一撃だ。簡単には治癒しない」
もう魔王琴谷は淡々とした口調で言う。
その時、異変が起こった。
琴谷の意識が落ちたのだ。
目を閉じ、一切動かなくなった。
「魔王琴谷、その首もらった!」
冬馬が、好機とばかりに飛びかかる。
「危ない!」
使が前に出る。
その胴を、大魔王の腕が貫いていた。
使は腹を抑え、地面に倒れる。
大魔王の嘲笑が響き渡る。
「勇者も天使も地に伏した。残ったのはこの大魔王だ! この世界の運命は決まった!」
絶望的な空気が、その場に漂い始めた。
続く




