決着
「優子、働け!」
冬馬が怒鳴る。
優子は呆然としている。
それはそうだろう。
子供ができないとわかっていても生涯をともにすると誓った相手の離反だ。
受け止めきれるものでもない。
それでも気丈に、彼女は前を向いた。
「アクセル……フォー!」
徹の速度が飛躍的に上がる。
大鎌と刀が幾重にもぶつかりあい、捌くのが難しくなってくる。
「どうした、息子よ。お前の持ち味はアクセルを駆使した高速戦闘と聞いたが」
「わからないのですが、使えないのです。聖獣のカードの力が。まるで抵抗しているかのように」
「ふむ。仮初とは言え聖の属性を持つカード。反目しているのかもしれんな」
徹が僕の懐に入り込んだ。
「さよならだ、コトブキ。俺達の、腐れ縁にも」
大鎌を振るう。
それを、徹は弾いた。
「一閃!」
高速の居合が僕の胴を捉える。
しかし、何も起きなかった。
僕のコートは、徹の居合を完全に吸収していた。
もう一人の僕は微笑む。
「ただの飾りだと思ったか?」
「な……?」
大鎌が、徹の体を捉えた。
その時、僕の意識は果てしなく続く大空の中にいた。
白い椅子が二つある。
一つに僕は座っている。
もう一つの椅子に座った人物に僕は目を見開いた。
師匠だ。
「師匠……?」
「いや、違うよ。これは仮初の姿だ」
そう言って、彼女は微笑んで、腕と脚を組んだ。
「僕は、ユニコーンのカード」
続く




