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魔王対勇者
「ホーリーレイン!」
使の叫び声と共に光の滝が空から降り注ぐ。
大魔王はそれを両手を開いて防壁を作って防ぐ。
「驚いた。本当に大天使クラスじゃないか」
とても驚いた、というふうには見えない。
そして、僕と徹は接近していた。
普通の刀ならば、この大鎌で折れば済むこと。
しかし、徹の刀、潮風斬鉄の特性は非破壊。
破壊することはできない。
加えて、徹自身には次元を断つ能力がある。
迂闊に隙を見せればやられる。
徹の刀が鞘から迸る。
「一閃!」
次元を断つ居合。
大鎌で受け止める。
徹の目が少し見開かれる。
返す刀で大鎌を振る。
徹は後方に引いてそれを避けた。
猪突猛進に突進しているかのように見えて安全マージンを残している。
百戦錬磨の経験。
「厄介な相手だ」
もう一人の僕は、知らず知らずのうちに微笑んでいた。
初めて、僕ともう一人の僕の感情がシンクロした瞬間だった。
幼馴染を誇らしいと思う気持ち。
それだけは確かだった。
続く




