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徹の葛藤

「人類における解決を不可能と断定」


 優子の胸から光が浮かび上がり、羽の生えた人の形をなす。

 使だ。


「この戦闘に介入します」


 使はそう言うとどこからともなく杖を呼び出し、構えた。


「ほう、魔界で支障なく動けるか。大天使クラスかな」


 大魔王は感心したように言う。


「徹君。大魔王は私が抑えます。琴谷君は貴方が」


「けどよ」


 徹は鞘に刀を納めて抜き出す姿勢のまま硬直している。


「こんな場面は想定していなくとも、こんな時のために天界から下賜された力があるはずです」


「コトブキだぜ? 俺の、幼馴染だ! いきなり魔王だって言われても、割り切れるかよ!」


「甘いよ、徹」


 その言葉は、僕の口から勝手に零れ出ていた。

 もう一人の僕が喋っている。

 そして、もう一人の僕は、大鎌を引くと、振り払った。


 黒い波動が放たれる。それは優子を目掛けて放たれていた。

 烈が間に入る。

 盾のホルダー、烈。いかなる攻撃をも防ぐ強靭な盾のホルダーを自認している。


 巨大な盾が両者の間に現れる。

 二つのエネルギーは拮抗したかと思われた。


 が、駄目。

 盾は粉々に砕け散った。


「まだよ!」


 そう言って間に入った者があった。

 冬馬だ。


 冬馬はコートで顔を覆うと黒い波動を一身に受け止めた。

 止まった。


 優子がへなへなとその場に座り込み、うわ言のように言う。


「コト……ブキ……?」


「お前……優子を狙ったな」


 徹は咎めるように言う。


「優秀なバッファーだ。早めに潰すに限る」


 僕は淡々とした口調で言う。

 徹は目を閉じると、深々と溜息を吐いた。

 そして、目を開いた。


「わかった。コトブキが俺達を忘れたように、俺は、コトブキを忘れる」


 そう言って、徹は僕に向かって突貫した。




続く

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