レジスタンス再び
「さて、ここからどう魔王との多対単に持ち込むかだが」
冬馬が淡々とした口調で言う。
初めて見る魔界だろうに感想もない。
どこまでもリアリストだ。
使は光に戻って優子の胸に戻ってしまった。
使が言うには、天使の使には魔界の空気そのものが毒そのものに等しいのだとか。
「ある程度は複数対処は覚悟せねばなるまいよ」
徹は淡々とした口調で潮風斬鉄を担いで言う。
「いや……」
僕は立ち止まり、耳を澄まして言う。
「結構あっさりと、多対単に持ち込めそうだ」
「根拠を聞こうか、ユニコーンのホルダー」
「魔王はどうやら人間との会話を欲しているらしい。そして、僕の外套。魔物と偽るにはうってつけだ。数年に一人、次元の狭間を落下して魔界に迷い込む人間がいる。所謂神隠しだな。それを経て迷い込んだ迷い子を保護したと魔王に報告すれば案外すんなり通るんじゃないかという話だ」
「どこ情報だよそれ」
徹が胡散臭げに言う。
僕も困惑しつつ言う。
「また聞こえてきたんだよ。レジスタンスとか言う連中の情報が」
「そもそも、そのレジスタンスって連中はなんだ?」
徹はうんざりとした、と言わんばかりに言う。
「前回は危うくジエンドとぶつけられかけたんだぞ」
僕はしばらく耳を澄ます。
情報は、宙を飛んでやってきた。
「なんでも、魔界にも天界を刺激したくない勢力がいるらしい。人間界に力を持たせたくない勢力も。その一派が極秘裏に力を形成して今に至っているようだ。人間界のアークスに対するナンバースみたいなもんだな」
「ますます胡散臭い」
優子がげんなりとした口調で言う。
「とりあえずは信じるしかあるまい。再訪しよう。魔王城へ!」
僕はそう言って前を歩き始める。
各々、迷うようにその後を歩き始めた。
迷うのも当然だろう。
待っているのはラストバトルだ。
続く




