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大空の上
気がつくと、僕らは大空の中を落下していた。
「どうなっている、ユニコーンのホルダー!」
冬馬が苛立たしげに叫ぶ。
「この前は大きな雲が足場になってくれたんだよ!」
僕は叫び返す。
「仕方ないですね」
優子の胸から光の球が浮かび上がる。それは羽の生えた人の形を成した。
使だ。
使は僕と優子の手を取る。
僕と優子は冬馬と徹の手を取る。
「琴谷君。足場の生成を。異界の主の貴方ならできるはずです」
僕は、言われるがままに念じていた。
すると、僕らの下に、巨大な大きな雲が姿を表した。
雲の上に着地する。
「さて。出番だぜ。ユニコーンのホルダーさん」
徹が揶揄するように言う。
「それにしても、コトブキを象徴するような異界だね。どこまでも広がる大空」
優子の言葉に、少し照れる。
僕は雲に槍を突き立て、念じる。
そして、異界の構造を組み替えていく。
神の所業に等しきその行為を、使はじっとみていた。
そのうち、掴んだ、という実感があった。
僕は、異界を閉じる。
すると、そこは、懐かしき魔界だった。
続く




