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魔界へ
「俺達を呼び出したっていうことは」
夜の公園だ。蝉が鳴いている。
夏休みももう終わる。
蝉の時期ももう終わりだ。
冬馬が、続けて口を開く。
「異界展開の方法を身に着けたのか?」
僕は頷く。
「ああ、完全にマスターした。どう転ぶかはわからないが……」
徹も、優子も、冬馬も、微笑む。
烈だけはとんでもないと言いたげな表情をしていた。
「その前に」
僕は言って、周囲に視線を向ける。
「いるんだろ? 緑」
しばらくの沈黙の後、渋々と言った感じで緑と笹丸と恵が姿を表した。
また、心配してついてきたのだろう。
「残念だけど、ここからの戦いはこれまでとはレベルが違う。ジエンド戦を超えるものになると思う。君達は、連れていけない」
緑は、何かを言おうとして、飲み込む。
そして、代わりに言った。
「生きて、帰ってくるんだよな?」
僕は微笑んだ。
「当たり前だろ」
「さ。はよしろよユニコーンのホルダー」
「はいはい」
せっかちな冬馬にせかされ、僕は精神を集中する。
「――異界、展開」
続く




