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再会
フィフスクラスとしての初の権限行使は、コースケとの面会に行使された。
権限とは持っておくものだなと思ったものだった。
目隠しをされて、車に乗る。
そして、三十分ほどの移動の後、手を引かれて階段を降りた後で目隠しを解かれた。
そこは、面会室が一つあるだけの不思議な建物だった。
手錠もかけられていないコースケが扉から出てくる。
久々の再開だった。
「久々だね、コースケ」
僕は声を掛ける。
コースケは席にかけると、頬杖をついた。
「最近は歌世ちゃんも面会に来てくれなくて暇してたよ。ここに来たってことは、君もナンバースに?」
隠してもどうしようもあるまい。僕は正直に答えることにした。
「そうなるね」
コースケは、パンと掌を大きく叩いて笑った。
「ようこそ、泥沼へ」
僕は流石に気を悪くする。
しかし、こういう奴だったかと気を取り直した。
「今日は用事があってきたんだ」
「なんだい。世間話をしに来てくれたんじゃないのかい?」
「異界展開の方法を聞きたい」
にやけ面だったコースケの瞳が、すっと細められた。
続く




