使の今後
なんとなく、予感にかられて屋上に出てみた。
やはり、使はそこにいた。
夏休みで日照りも強いのにそこにいるなんて根気強いと言うかなんというか。
「夏でも君は変わらないんだな」
「ジエンド討伐」
使は、こちらに背を向けたまま口を開く。
「何故声をかけてくれなかったのですか」
「あー。発案者が君の存在を知らなかったからな」
「なら、貴方が提案してくれれば良かった」
責めるような口調ではない。淡々とした静かな口調。
使は、こちらを向いた。
そして、表情も買えずに言った。
「今日は普段と違う格好なんですね」
「やっぱ似合わないかな?」
「大人のように見えます」
「そっか。僕もこういうのが似合う年齢ってことかな」
おや、と思った。
使が人の外見を気にするなんて今までなかったことではないかと思ったのだ。
徹との交流などを経て使にも変化が訪れているのか?
そんな確証もないことを思う。
「予定が大幅に狂いました」
使が言う。
「と言うと?」
「私はジエンドを倒して天界に戻るつもりだった。しかし独力でジエンドを倒す貴方達戦力を見逃せないと上は判断したようです」
「つまり、どうなるんだ?」
使は、微笑んだ。
思わず、どきりとした。
絶世の美少女の使。
その微笑みは、破壊力抜群だった。
「魔王討伐まで、お付き合いすることになりそうです」
僕は唖然とした後、微笑む。
「願ったり叶ったりだ」
四天王もすべて倒し、後は魔王だけ。
僕らの戦いも、既に大詰めに入っているのかもしれなかった。
続く




