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聖獣同士の戦い

 深夜の公園で、僕らは向かい合った。

 剣也が言うにはこの公園、夜にはよほど立ち入ろうとする意思がなければ近寄れないように師匠が結界を張っているそうだ。

 決戦の舞台にはうってつけだった。


 僕と冬馬が向かい合う。

 互いに、既にカードホールドにカードはセットしてある。

 徹は潮風斬鉄を担いで座り、優子はその横でハラハラとした表情で行く末を見守っている。


「まずは前回の続き、ということになるな」


 愉快げに冬馬が言う。


「そう言えば、あれも決着がついてなかった」


「あくまでも前哨戦だぜ。ほどほどといこうや」


「嫌だね。ヒーラーもいる。俺は全力で行く」


「そうかい……」


 コートを翻し、頭の角に触れる。それは槍となり、右手に収まった。


「じゃあ、僕も全開だ」


 冬馬は、にいと笑った。


「それでこそ、だ」


「アクセル、フォー」


 僕は唱えると、冬馬の背後にワンステップで移動する。

 そして、突く。

 しかしそれは、玄武のガードに阻まれた。


「まだまだそんなものじゃあるまい! ユニコーンのホルダー!」


 冬馬のコートに絡みついた蛇が一斉に僕に向かって襲いかかってくる。

 それを一足で回避して射程圏外に逃れると、次の突貫の道を探る。


「生憎これが全速力だよ」


 アクセルフォーが今の僕の全速力だ。

 アクセルは元の速度が速ければ速いほど効力が増すスキル。

 ユニコーンの速度でそれをかければその効果はとてつもないものとなる。


「あるだろう? ユニークスキル、分身が」


 それを使えば、本格的に殺し合いになるのではないか。

 そんな懸念が、僕にはある。


 しかし、冬馬が望むのならば。

 ヒーラーである優子がいる今ならば。

 それもありなのかもしれない。


「南無三」


 僕は呟いて、分身を発動させた。

 冬馬は一つ、ミスをした。

 それは、この前の戦いでのことだ。

 冬馬は意図した方向にしか結界を張れないと自ら吐露した。


 つまり、複数方向から、あるいは意図せぬ方向から分身で攻めれば、あの鉄壁の結界は破れる。

 僕は分身と冬馬の左右から攻めた。


 決まった。

 そうと思った突きが阻まれる。

 蛇での反撃を危うく回避する。

 僕は避けきれたが、分身は右腕を失って消えた。


「一方向からの攻撃しか防げないと思ったかい? ユニコーンのホルダー」


 僕は思わず微笑んでいた。

 これは難敵だ。

 今まで戦ってきた中で一番のライバルかもしれない。


 楽しませてくれる。

 だからこそ、やりがいがある。


「今度は五体の分身で攻める。捌ききれるかな」


「そちらこそ、攻めきれるかな」


 冬馬は余裕綽々だ。

 その限界がどこにあるか、見たくなってきた。


 その時、悪寒が背筋を走った。

 かつてほどの威圧感は覚えないにしても、絶対的な力を感じさせるその圧力。


「前回のことがあっての今回。ということは、これは貴方がたの招待ということでよろしいですかな? 琴谷様」


 徹が無言で立ち上がり、潮風斬鉄を鞘から抜く。

 ジエンドが、公園の中央に鎮座していた。



続く

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