相談
冬馬の提案を徹と優子に相談すると、二人共難しい顔になった。
「確かに、いつかは通らなきゃならない道だな」
「けど、自分達から危険に飛び込むことはないんじゃないかな?」
「けどよお、あいつらが自分達から現界する術を覚えた時が怖いぜ。今ならまだ、俺達で叩ける」
沈黙が場を支配した。
徹がふと、僕を見る。
「コトブキ。お前はどう思ってるんだ」
「僕は……」
夢物語のようなものに縋っているというのはわかっている。けど、言わずにはいられなかった。
「剣也さんは、師匠は生きていて、僕らが命の危機に陥れば必ず姿を表してくれると言った」
徹も、優子も、目を丸くする。
「その言葉を、信じたい」
再び、沈黙。
「命の危機に陥ることなんてないと思うがな」
徹が言う。
「俺達が多人数で徹底的にボコるだけだ」
「そうだね。以前は感じた圧倒的な距離感を、今は感じない」
優子も言う。
「じゃあ、決まりだ。決行は今日の十時。冬馬と合流して、いつもの公園で彼を待つ」
二人は頷く。
徹がぶっきらぼうに手を差し出す。
残りの二人も、その手に手を重ねた。
「私、この中の一人でも欠けるなんて、嫌だからね」
優子が言う。
「俺もだ」
徹がぶっきらぼうに言う。
僕は微笑んだ。
この二人が一緒なら、怖いものなんて、なにもない。
続く




