変革
「と、言うことで、花のゲートと花壇とお菓子の自販機の設置を実現に移します」
窓から強い日光が差し込む生徒会室で僕は宣言していた。
「会計から言うことはなしです。全部実現範囲内です」
優子は言う。
「問題はないですね? 先生」
師匠の代理に抜擢された老教師は、好々爺地味た笑みを浮かべると、一つ頷いた。
「いいんじゃないかな」
一つ胸を撫で下ろす。これで、僕の生徒会は短命で終わらずに済みそうだ。
帰り道、優子達と話しながら帰る。
師匠が行方不明という事実が僕らに影を落としていたが、皆、それにできるだけ振れずにはしゃいだ。
そして、帰宅すると、僕は恵の部屋に直行した。
「ただいま。恵さん、ちょっといいかな」
「はい、いいですよ」
恵の声は暗い。
師匠の行方不明……いや、はっきりと死亡と言ってしまっていいだろう。そのショックを引きずっているのだろう。
「師匠はもういない。俺達を守ってくれる存在はもういないんだ」
「そうですね。代わりの人材は配置されるとは思いますが」
「それで、一つ俺から提案があるんだが、それをナンバースの人に伝えて欲しい」
「なんでしょう?」
「俺がナンバーㇲに゙入りたい」
恵は目を丸くした。
今まで、師匠のナンバースの権限でどれだけ無茶をさせてもらったかわからない。
それがなくなれば、僕はただの一般の生徒だ。
けど、まだ僕は禁断の異界で鍛えたいし、様々な異界のボスと戦いたい。
それには、僕自身がナンバースとなるしかなかった。
恵は言葉を探すように、しばし沈黙していた。
続く




