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大会の後

 結局、聖獣同士の戦いは行われず、それまでの四戦の結果で僕達は次の戦いに進んだ。

 その後、苦戦らしい苦戦はなく、結局県大会優勝という栄誉を得たのだった。

 しかし、祝福の会場の中には顧問である師匠の姿はなかった。


 帰り道、父の車で帰る。

 そして夜になると、僕はいつもの習慣で公園に向かって歩き始めた。

 そこに行けば、いつも通り師匠がコーヒーを片手に待っている気がして。


 軽く片手を上げて


「よっ、今日も来たね」


 なんて軽い調子で歓迎してくれるんじゃないかと思って、歩き続けた。

 期待はあった。


 なにせ、師匠はフェニックスのホルダーだ。

 カードさえカードホールドに挿していれば殺すことは不可能に近い。

 死ぬはずがないのだ。

 一撃で脳を撃ち抜かれでもしない限りは。


 そして、僕は公園にたどり着いた。

 そこには、誰もいなかった。

 いつもより広く感じる公園。

 そこに、ただ一人佇む僕。

 寂しかった。

 切なかった。


 そして、突きつけられた。

 師匠はもう、いないのだと。


 ベンチに座り、買ってきたコーヒーの缶を開ける。

 一口飲む。

 苦い。


 あの人はなんでこんな苦いものを好んで飲んでいたのだろう。

 そんなことも今となっては聞けないのだ。

 実感がじわじわと追いついてくる。


 目尻に涙が滲んだ。

 それを、拭う。


「よ、コトブキじゃん」


 声をかけられて、顔を上げる。

 先輩が、不思議そうに僕を見下ろしていた。




続く




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