絶叫
「ジエンドオオオオオオオ!」
僕が最初にしたことは、自身を鼓舞するように叫び、襲いかかることだった。
かつて、山で魔物と遭遇したときとは真逆。
恐怖が、僕を支配していた。
槍の切っ先をジエンドは避けなかった。
指一本で受け止める。
「流石は琴谷様。筋が良い」
愕然とする。
未だに、ここまでレベルが違うのか。
「避けろ、コトブキ!」
徹の声がして、僕はとっさに右後方に避けた。
居合が放たれる。それは空間をも断ってジエンドに襲いかかった。
しかし、なにも起こらない。
ジエンドは平然とした顔をしている。
「アークス、とかいう集団が好んで使う空間の断絶か。その手の技は見飽きている」
「デフダド!」
ジエンドの形相が変わる。
デバフスキルデフダド。
防御力を下げるスキル。
これにより、ジエンドの圧倒的な防御力はある程度無効化される。
ジエンドの表情に初めて焦りのようなものが見える。
「スペルマスターか。お前、厄介だな」
ジエンドは薄く笑って、優子を指した。
「決めた。お前は最初に殺して食ってやろう」
はじめと純子が、無言でジエンドの前に立ちふさがった。
続く




