両雄相対
冬馬がカードホールドにカードを挿す。
とたんにその髪が緑になり耳が尖る。
エルフのカード。
僕にとっては見慣れたカードだ。
「聖獣のカードは使わないのか?」
僕の問いに、冬馬は微笑んで答えた。
「まずは君の得意分野でと思ってね。一瞬で勝負が決まってはつまらんだろう?」
「言ってくれるね」
エルフのカードはオールマイティー。極めれば脅威になることは師匠で実証済みだ。
僕はユニコーンのカードをカードホールドに挿す。
黒い外套が身を包み、頭に生えた角が槍となり右手に収まる。
「その外套」
冬馬が疎ましげに目を細める。
「醜いな」
「僕も持て余しているところだ」
正直な感想だった。
この外套、魔物の気配が強すぎる。
あの魔物はなにを思って僕にこんなものを託したのだろう。
答えは未だ知れてはいない。
あの、不吉な予言の答えも。
「はじめ!」
試合開始の声が響く。
「アクセルイレブン!」
冬馬が唱える。
そのアクセルのレベルの高さに僕は目を見開いた。
冬馬は一瞬で僕の背後を取る。
そして、槍で僕の腹部を突こうとした。
その槍は空を切り、僕の脇に捕らえられた。
槍が折れる。
「侮り過ぎじゃないかな」
僕はとぼけた調子で言う。
「まだまだ!」
冬馬は槍を再召喚する。
スピード勝負なら僕の土俵だ。
ただ、冬馬の秘めている聖獣のカード。
その性能が、今後の戦いをどう左右するかは未だ知れなかった。
続く




