スペルブレイカー
「アクセルツー、パワードツー」
優子は試合が始まった途端に自分にバフスキルをかける。
そして同時に、相手にデバフスキルを唱えた。
「トクトド!」
トクトド。スキルを使用できなくなるスキル。
しかし、相手は微笑んで唱えた。
「アクセルスリー」
そう唱えた次の瞬間、相手は優子の懐に入り込んでいた。
(はや)
考える間もなく拳が振るわれる。
優子は杖で辛うじてそれを受けた。
アクセルを駆けていなかったら危ないところだった。
均衡状態が訪れる。
「なんでトクトドがかかっているのにアクセルを使えるの?」
「ユニークスキル、スペルブレイカー。全てのデバフスキルを私は無効化できる」
なんだそれ。そんなのズルだ。
スキル主体で戦う優子の天敵ではないか。
相手の蹴りが優子を襲う。
優子は体重を乗せた杖を軸にして半回転し、相手の後ろを取った。
そして、肘鉄を打つ。
それを相手は素早く振り返って対処すると、後方へ飛んだ。
「アクセルツーでそれか。相当鍛えてるね。スリーやフォーを覚えてたら脅威だった」
「御生憎様」
優子は苦笑して、唱える。
「アクセルシックス」
相手が目を見開き、次の瞬間には腹部を殴られ吹き飛んでいた。
そのまま、会場の壁にぶつかり、血反吐を吐いて失神する。
優子の勝利が告げられ、治療が始まる。
通常の数倍の不可がかかった優子の筋肉の繊維もただでは済まない。
しかし、優子にはユニークスキルオートリジェネがある。
この程度の反動なら数十秒で回復してしまうのだ。
「流石だな」
コトブキが言う。
「私も中々やるでしょ?」
コトブキと徹の首に手を絡めて抱き寄せて言う。
「お前がいなけりゃ俺達機能してねえよ」
「ホントホント」
「なら、良かった」
満面の笑みで、優子は勝利を手にした。
それは、MT専門学校が五回戦への切符を手に入れたのと同義だった。
続く




