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まだまだお前は強くなる
「正直今大会、お前は毎回相手が悪い」
休憩時間中に、難しい顔で徹は言う。
「一回戦の相手は俺やコトブキでもやりようによっては負けるトリックスターだし、二回戦はコトブキが強すぎた。三回戦は相手の大将が相手だ。正直新人としては毎回荷が勝ちすぎだ」
徹は苦笑すると、片手をぽんとはじめの肩に置いた。
「次の相手は一年同士。いい試合ができると思うぜ。ちょっとは自信もて」
と言われると、上手くいかなかった時こそ言い訳ができなくなってしまうではないかと思う。
そして今、決戦の闘技場ではじめは相手と向かい合っている。
程よい緊張感がある。
「はじめ!」
純子が言い、拳を伸ばす。
はじめは微笑み、その拳に拳をぶつけた。
「いいところがなかった者同士、四回戦は頑張ろう」
そう言い合った仲なのだ。
さて、試合が始まる。
互いにカードホールドにカードを指す。
巨大な盾が両者の片腕をすっぽりと包み、ロングソードがもう片手に握られる。
まるで、鏡に写したかのような。
そう、相手も、聖騎士のホルダー。
そうと悟ったはじめは、それこそ負けられないと、息を呑んだ。
続く




